漏電調査の費用相場|1万円台〜20万円の内訳と当日の流れ・業者選び

オフィスや店舗で「漏電ブレーカーが落ちた」「特定の機器を使うと感電する」「雨天時に停電する」といった症状が出た場合、漏電調査の依頼が必要になります。漏電は放置すると火災・感電事故・賠償責任に直結するため、対応の速度と業者選定の質が問われます。
本記事では漏電調査の費用相場、業者の選び方、緊急時の対応フロー、法令上の責任分界まで、施設管理者・店舗オーナー向けに体系的に解説します。
漏電調査の費用相場
漏電調査の費用は、調査範囲・使用機器・緊急対応の有無で決まります。直近の見積実績の中央値は以下のとおりです。
| 調査内容 | 費用相場 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 簡易調査(目視・通電確認) | 10,000〜20,000円 | 30分〜1時間 |
| 絶縁抵抗測定(メガー試験) | 25,000〜45,000円 | 1〜2時間 |
| 漏電箇所特定調査(クランプメーター含む) | 35,000〜70,000円 | 2〜4時間 |
| 大規模事業所の全配線調査 | 80,000〜200,000円 | 半日〜1日 |
| 緊急対応割増(夜間・休日) | 上記 + 25〜50% | — |
漏電箇所が特定できた後の修繕工事は別途費用。配線交換・コンセント交換・分電盤改修などで5万〜数十万円の範囲です。
緊急時に最初に依頼するのは、絶縁抵抗測定(メガー試験)込みのプランが標準。これで漏電箇所を概ね特定でき、修繕工事の見積根拠にもなります。簡易調査だけだと原因特定までいかず、二度手間になることが多いです。
漏電が起きるメカニズムと典型症状
漏電は「絶縁不良」によって起きます。本来流れるはずのない経路に電気が漏れ、漏電ブレーカーが感知して停電させる仕組みです。典型的な原因は以下のとおりです。
- 配線の絶縁劣化:築20年以上の建物で経年劣化が進む
- コンセント内部の結露:屋外コンセント・水回りに多い
- 機器内部の絶縁破壊:エアコン・冷蔵庫など高湿環境の機器
- 配線の物理的損傷:ねずみ・ペット・工事中の事故
- アースの不良:接地工事の不備、接地線の腐食
典型症状としては以下が挙げられます。
| 症状 | 漏電の可能性 |
|---|---|
| 漏電ブレーカーが頻繁に落ちる | 高(即調査) |
| 特定の機器使用時にビリビリする | 高(感電前兆) |
| 雨天時のみ停電する | 高(屋外配線疑い) |
| 電気代が急に上がった | 中(漏電による無駄な消費) |
| 金属部分に触れると軽くしびれる | 高(即対応) |
特に「ビリビリする」「しびれる」は感電事故の直前兆候:使用を中止し、即業者を呼んでください。
自分でできる初期確認
業者を呼ぶ前に、社内で以下の確認をすると原因特定が早くなります。ただし通電状態の配線・分電盤内部に手を入れるのは厳禁です。
確認1:漏電ブレーカーが落ちた状況を整理
- 何時に落ちたか
- 落ちる前に使っていた機器
- 天候(雨か晴れか)
- 落ちた頻度
これらをメモしておくと、業者が原因特定するスピードが上がります。
確認2:漏電ブレーカーを上げてみる
漏電ブレーカーを「ON」に戻して上がるかを確認します。
- 上がる → しばらくしてまた落ちる:継続的な漏電
- 上がらない:常時漏電している、即業者
- 上がる → 落ちない:一時的なトリガー(突入電流など)
確認3:分電盤の異常を目視確認
分電盤の蓋を開けて、ブレーカー本体・配線が焦げていないかを目視確認します。
- 焦げ臭い
- 配線が変色している
- ブレーカーが熱い
これらの症状があれば、火災の前兆として即業者対応が必要です。
業者を呼ぶべき判断基準
以下のいずれかに該当する場合は、自社対応をやめて電気工事業者に連絡します。
- 漏電ブレーカーが30分以内に再度落ちる:継続漏電、放置で発火リスク
- 金属部分に触れるとしびれる:感電事故の前兆
- 焦げ臭・発煙・配線の変色:火災の前兆
- 雨天時に必ず落ちる:屋外配線の絶縁不良
- 漏電ブレーカーが上がらない:内部故障または常時漏電
業者は通常、現地で以下の対応を行います。
- 絶縁抵抗測定(メガー試験):1MΩ以上が正常、それ以下なら絶縁不良
- クランプメーターでの漏れ電流測定:配線ごとの漏れ電流を測定
- 回路の切り分け:分岐回路を1つずつOFFにして発生源を特定
- 応急処置:漏電箇所を切り離して安全な状態に
法令上の責任分界
漏電は法令上、誰が責任を負うかが明確に定められています。テナント入居の事業所では特に重要です。
| 場所 | 責任主体 |
|---|---|
| ビルオーナーの所有部分(共用配線・分電盤幹線) | ビルオーナー |
| テナント占有部分の配線(分電盤の分岐ブレーカー以降) | テナント |
| テナント側の機器(PC・複合機等) | テナント |
テナント占有部分で漏電が起きた場合、修繕費用はテナント負担が原則。ただしビル側の配線劣化が原因の場合はオーナー負担になります。
責任分界を明確にしないまま勝手に修繕すると、後で費用負担を巡ってオーナーとトラブルになることがあります。賃貸借契約書の電気設備条項を確認し、必要なら現地調査時にオーナー立会いを求めます。
業者選定で確認すべき5項目
漏電調査を依頼する業者を選ぶ際は、以下の5項目を確認します。
- 第二種以上の電気工事士の在籍:漏電調査・修繕は法定資格者必須
- 絶縁抵抗計・クランプメーターの保有:定量測定ができる業者
- 緊急対応の応答時間:標準は2時間以内、24時間対応か
- 修繕工事まで一貫対応か:調査だけで修繕が別業者だと連携リスク
- 賠償責任保険の加入:施工不良で二次被害が出た場合の備え
特に緊急対応は「2時間以内に到着」を約束できる業者を選ぶのが基本。応答が遅いと業務停止時間が伸び、機会損失が増えます。
放置した場合のリスク
漏電を「ブレーカーが落ちるけど復旧すれば動くから」と放置すると、以下のリスクが顕在化します。
- 電気火災:絶縁不良からの発火、電気火災の主要原因
- 感電事故:従業員や来客が金属部分に触れて感電、労災・刑事責任
- 業務停止:突発停電によるサーバー・機器の破損、データ損失
- 賠償責任:テナント間の波及、隣室への被害賠償
- 保険適用外リスク:放置していた漏電が原因の事故は、火災保険の支払い対象外になることも
特に「感電事故」が起きた場合は労働安全衛生法上の責任問題に発展し、安全配慮義務違反として民事・刑事の両面で追及されることがあります。
漏電が起きやすい設備の特徴
漏電は突然発生するように見えて、実は「起きやすい設備」のパターンがあります。事前にこれらを把握しておくと、予防的な点検優先順位が決まります。
高湿度環境にある設備
- 業務用厨房:水蒸気・油煙で配線・コンセント内部が腐食
- 冷蔵庫・冷凍庫:結露で機器内部の絶縁が低下
- 給湯室・洗面所:水回りに近いコンセント
- 屋外コンセント:雨水・結露で防水処理が劣化
これらの設備は 絶縁抵抗を年2回測定するのが標準です。劣化進行が早いため、年1回では見逃すことがあります。
経年劣化が進みやすい設備
- 築20年以上の屋内配線:絶縁体の経年変化
- 古い分電盤:内部の端子腐食・接触不良
- 屋外露出配線:紫外線・温度変化・小動物による損傷
- 頻繁に開閉する機器:起動電流の繰り返しで端子部が劣化
物理的損傷を受けやすい設備
- 倉庫の床面コンセント:フォークリフト等で破損
- 工場の天井配線:振動・衝撃で固定が緩む
- 店舗の常設電源:清掃時の水濡れ、什器移動時の損傷
これらの設備は、目視点検で異常を早期発見できます。月1回の巡回で「変色・破損・緩み・湿気」をチェックする運用が効果的です。
定期点検で漏電を予防する方法
漏電は事後対応より、定期点検による予防が圧倒的にコスト効率が良いです。年1回の点検で発見できる劣化の多くは、放置すると数年以内に漏電事故につながります。
推奨される点検頻度
| 設備カテゴリ | 推奨点検頻度 |
|---|---|
| 一般オフィス配線 | 年1回 |
| 厨房・水回り設備 | 年2回 |
| 屋外配線・看板 | 年2回 |
| 高圧設備(キュービクル) | 月次・年次(法定) |
| 古い分電盤(築20年超) | 年2回 |
自社でできる予防策
- 巡回点検チェックリストの作成:清掃時に変色・異音・異臭を確認
- 湿気の高いエリアの除湿:厨房・冷蔵庫周辺に除湿剤
- 延長コードの定期交換:3年で交換、定格容量の8割以下で使用
- タップの過熱チェック:触って温かいタップは即交換
これらは特別な機器なしで実施できます。日常運用に組み込むことで、漏電事故の確率が大幅に下がります。
業者の予防点検契約
年1回の絶縁抵抗測定を含む「予防点検契約」を業者と結ぶのも有効です。年額3〜10万円程度で、漏電事故の事前検知・修繕推奨レポート・緊急対応割引などが含まれます。
事故対応の費用と比較すると、予防点検の費用対効果は明確に高いです。突発漏電による業務停止1日分の損失で、5〜10年分の予防点検費用がペイすることが多いです。
費用に幅が出る理由と、当日の流れ
同じ「漏電調査」でも1万円台から20万円まで開きがあるのは、どこまで原因を絞り込むかが案件ごとに違うためです。
| 費用を押し上げる要因 | 内容 |
|---|---|
| 回路数が多い | 分電盤の系統が多いほど、1回路ずつ切り分ける時間が増える |
| 停電できない | 稼働中の設備を止められない場合、活線での測定や夜間作業になる |
| 埋設・隠ぺい配線 | 天井裏や床下、屋外埋設の区間は特定に時間がかかる |
| 原因が間欠的 | 雨天時だけ、機器の運転時だけ症状が出るものは再現待ちが必要 |
| 緊急対応 | 夜間・休日の出動は割増になる |
調査当日の流れ
- 状況の聞き取り:いつ、どの系統が落ちたか、天候や設備の稼働状況を確認する
- 分電盤で系統を切り分ける:ブレーカーを1つずつ入り切りし、漏電している系統を絞る
- 絶縁抵抗を測る:メガーで対地絶縁を測定し、基準を下回る回路を特定する
- 箇所を追い込む:クランプメーターや区間ごとの切り分けで、機器か配線かを判定する
- 報告と見積もり:測定値と原因、修繕方法を提示する
呼ぶ前に、落ちた日時・天候・そのとき動いていた機器をメモしておくと、1の聞き取りが早く済み、結果として調査時間も費用も抑えられます。
よくある質問
Q. 漏電調査を頼んだら、その日のうちに直りますか。 A. 原因が機器側で、交換部品が手元にあれば当日対応できることがあります。配線の引き替えが必要な場合は、材料手配と作業時間の確保が要るため後日になるのが一般的です。
Q. 調査だけ頼んで、工事は別の業者に出してもよいですか。 A. 可能です。ただし測定値と特定箇所の情報が正確に引き継がれないと、工事側で再調査になり二度手間になります。報告書を必ず受け取ってください。
Q. 漏電ブレーカーが落ちないのに、電気代が高いのは漏電ですか。 A. 漏電が疑われるケースもありますが、機器の効率低下や契約内容が原因のこともあります。まずは絶縁抵抗の測定で切り分けるのが確実です。
Q. 賃貸のテナントですが、費用は誰が負担しますか。 A. 建物側の設備(分電盤や共用部の配線)か、入居者が設置した設備かで分かれます。本文の責任分界の項をご確認のうえ、調査前に貸主と範囲を確認してください。
Q. 調査を先延ばしにするとどうなりますか。 A. 絶縁不良は進行します。漏電火災や感電のリスクに加え、停電で設備が止まる形で表面化することもあります。ブレーカーが一度でも落ちたなら、早めの調査を勧めます。
まとめ
漏電調査は症状の発生から24〜48時間以内に業者対応するのが原則です。
- 漏電ブレーカーが30分以内に再度落ちる → 即業者連絡
- 「ビリビリ」「しびれる」症状 → 使用中止し即業者
- 業者には絶縁抵抗測定込みのプラン(25,000〜45,000円)を依頼
- テナント入居の場合は責任分界を確認、必要ならオーナー立会
- 緊急対応2時間以内・修繕一貫対応の業者を優先
- 高湿度環境・築20年超の設備は予防点検契約で事故確率を下げる
放置すれば火災・感電・賠償責任のリスクが顕在化するため、症状が出たら先送りせず業者を呼ぶのが、結果的に最もコストを抑える対応です。




