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電気工事の見積書の書き方|単価設定と粗利確保のテンプレ付き

電気工事の見積書の書き方|単価設定と粗利確保のテンプレ付き
※画像はイメージです

電気工事の見積書は 営業ツール。書き方ひとつで受注率と粗利が大きく変わります。「電気工事一式 ◯◯万円」で済ませる業者と、項目別に内訳を示す業者では、同じ案件でも受注確率が2倍以上違うことも珍しくありません。

本記事では「お客様に伝わる」「粗利を確保できる」見積書の構成と、項目ごとの単価設定の考え方を、テンプレ付きで解説します。営業担当だけでなく、現場代理人・経営者まで、見積に関わる全員が押さえておくべき内容です。

受注率と粗利が同時に上がる見積書の3原則

見積書の質は3つの原則を守るだけで大きく変わります。これらは独立した要素ではなく、3つ揃ってはじめて「営業ツール」として機能します。

  1. 項目別に分ける 「電気工事一式」ではなく、「材料費」「労務費」「諸経費」「処分費」を分離します。お客様が「何にいくら払っているか」が見えると、価格交渉が「総額の値引き」ではなく「項目別の調整」に変わり、無理な値引き要求が減ります。
  2. 数字の根拠を示す 1箇所単価×箇所数、人工単価×日数の形で書きます。例えば「コンセント増設 ◯万円」より「コンセント増設 12,000円 × 6箇所 = 72,000円」の方が、根拠が明確で信頼度が上がります。お客様の社内稟議資料としても通しやすくなります。
  3. 付帯提案を1つ加える メイン工事と同時施工で割安になるオプションを必ず添えます。「同時にLED化すれば +15万円」のような提案で、客単価を1.3〜1.8倍に引き上げる余地が生まれます。

これら3原則を満たした見積書は、お客様の社内稟議資料としても機能するため、決裁スピードも上がります。

標準テンプレート(コンセント増設の例)

具体的な見積書のフォーマットは以下のような構成です。コンセント増設工事を例に示します。

【見積書】2026年4月25日
○○株式会社 御中
件名:本社事務所コンセント増設工事
────────────────────────────────
1. 材料費
  ・接地極付コンセント(パナソニック WTF13123W) 6個 × 1,200円 = 7,200円
  ・VVFケーブル 2.0mm-3C  30m × 220円 = 6,600円
  ・モールカバー(白) 8m × 380円 = 3,040円
  ・スイッチボックス・配線資材 一式 = 4,500円
  小計:21,340円

2. 労務費
  ・第二種電気工事士 1名 × 0.5人工 = 12,500円
  ・補助作業員 1名 × 0.5人工 = 8,500円
  小計:21,000円

3. 諸経費(10%):4,234円

4. 撤去・廃棄処分費:3,000円

────────────────────────────────
合計(税抜):49,574円
消費税(10%):4,957円
合計(税込):54,531円

【保証】施工後1年間の施工保証
【工期】1日(午前9時〜午後3時想定、テナント営業中は不可)
【追加費用が発生するケース】
  ・現地で隠蔽配線が必要と判明した場合:+15,000円〜
  ・既存ブレーカーに空きがない場合:分電盤改修 +35,000円〜
【見積有効期限】発行日から30日

このテンプレートのポイントは、材料・労務・諸経費・処分費の4項目を分離し、各項目内も明細化していること。さらに「追加費用が発生するケース」を事前明示することで「後から追加請求された」というクレームを激減させられます。

単価設定の基本|粗利30%を確保する

価格設定は「相場 × 自社の粗利目標」で決めます。粗利30%を確保するための各項目の単価感は以下のとおりです。

材料費

仕入原価の 30〜50%上乗せ が標準。卸売業者の協力単価を活用しつつ、納品リスク(在庫負担)と品質保証分を上乗せします。

材料費の上乗せ率は、以下の要素で調整します。

  • 大量発注品:仕入が安いため上乗せ率を高めに(40〜50%)
  • 特殊・受注生産品:在庫リスクが高いため上乗せ率を高めに(50%超)
  • 汎用品(VVFケーブルなど):競合との価格比較が容易なため上乗せ率を抑えめに(30〜35%)

材料費の比率を上げすぎると価格競争で負けるため、汎用品は控えめ・特殊品は高めという使い分けが現実的です。

労務費(人工単価)

労務費は「1人工単価 × 想定日数」で計算します。地域別の人工単価相場は以下のとおりです。

役割 1人工単価相場(首都圏)
第二種電気工事士(一般) 22,000〜28,000円
第一種電気工事士 28,000〜35,000円
主任技術者・現場代理人 32,000〜45,000円
補助作業員 15,000〜20,000円

地方都市は首都圏比 15〜25%安 が一般的。元請けの単価表を参考にしつつ、自社の固定費(社保・賞与・車両費)を賄える水準を維持します。

人工単価の設定で重要なのは、自社の固定費(社保・賞与・車両費・事務所家賃など)を月間稼働日数で割って、最低人工単価を算出しておくこと。これを下回る単価では、案件を取るほど赤字が積み上がります。

諸経費

諸経費は材料費 + 労務費の 10〜15% が標準。車両費・通信費・事務費・保険料を含みます。

諸経費を「10%」と一律にする業者が多いですが、案件規模が小さいほど固定費の比率が上がるため、小規模案件は15%、大規模案件は8%のように調整するのが合理的です。お客様への説明では「材料費と労務費の合計に対して◯%」と明示しておくと、後の値引き交渉で根拠を示せます。

受注率を上げる5つの工夫

見積書の質を高めても、提出方法・補足情報・タイミングで差が出ます。受注率を底上げする具体的な工夫を5つ紹介します。

1. 写真と図解を添付

施工イメージや配線経路を 写真付きで説明 すると、お客様の不安が消えて意思決定が早まります。過去の類似案件の施工後写真を1枚添えるだけでも、「実績ある業者」という印象を与えられます。

CADまでは不要で、現場写真にPowerPointで配線経路を線で書き込むだけでも十分です。「言葉で説明するより、絵で見せる」が鉄則です。

2. 複数プランを提示

「ベーシック」「推奨」「最上位」の3プランを提示すると、推奨プランが選ばれやすくなります(中間案誘導効果)。

価格差は推奨プランを基準に、ベーシック -15%、最上位 +20% 程度が比較しやすい設計です。極端な価格差だと「両端は選べない」となり、推奨プランの説得力が増します。

3. 工期を明確に

「○月○日午前9時〜午後3時」と日時まで提示すると、顧客のスケジュール調整が進みます。

「2週間程度」のような曖昧な工期表記は、お客様側で社内調整がしづらいため、決裁が遅れがちです。具体的な日時を提案すれば、お客様は「その日でOKかどうか」だけを判断すれば済みます。

4. 保証を明文化

施工保証1年・機器保証5年などを 見積書に明記。口頭では伝わりません。

保証範囲(施工部分のみか、機器も含むか)と除外条件(経年劣化・天災・他業者の施工に起因する不具合など)も書面化しておくと、後のトラブルを未然に防げます。

5. 同時施工オプションを添える

「コンセント増設と同時にLED化すれば +15万円で施工可能」など。1見積に1つ の付帯提案で客単価が1.3〜1.8倍に。

オプション提案の際は、別途発注した場合との価格差(同時施工なら ◯円安い)を明示すると、お客様の意思決定が早まります。

受注を逃した原因のセルフチェック

「見積を出したのに失注した」と感じたら、以下の5項目を振り返ります。原因を特定できれば、次回の改善策が見えてきます。

チェック項目 OK / NG
提出までに3営業日以上かかっていないか
見積書のPDF品質(フォント崩れ・押印漏れ)はOKか
工期と保証が明記されているか
追加費用の発生条件を事前明示しているか
同業他社の単価帯から大きく外れていないか

失注理由を 顧客に直接聞く ことも有効。3社中2位で失注した場合、価格差・対応差のフィードバックが次回見積の改善に直結します。

特に「提出スピード」は失注原因の上位。お客様は「最初に提出された見積」を基準に他社比較するため、提出が遅いと比較対象から外れることもあります。

ありがちなNGパターン

最後に、絶対に避けるべき見積書のNGパターンを整理します。これらは受注率を下げるだけでなく、後のトラブル発生確率も上げます。

  • ❌ 「電気工事一式 ○○万円」だけの見積
  • ❌ 「諸経費 一式」と内訳なし
  • ❌ 工期・保証の記載なし
  • ❌ 追加費用が発生するケースの事前明示なし
  • ❌ 振込先情報が見積書に含まれていない

これらに1つでも該当する見積書を出している場合、即座に改善すべきです。テンプレートを社内で標準化すれば、若手社員でも一定品質の見積が出せるようになります。

まとめ|見積書は「次の発注」への伏線

質の高い見積書は 次回の指名受注 につながります。一度きりの取引で終わらせず、定期点検や設備更新の提案までセットで考える視点が、安定経営の鍵です。

  • 項目別・根拠明示・付帯提案の3原則を守る
  • 標準テンプレートを社内で共有し、属人化を防ぐ
  • 受注率を上げる5つの工夫を全案件で実施
  • 失注時はセルフチェックで原因を特定し、次回に活かす

見積書テンプレートは社内で標準化し、若手でも一定品質のアウトプットができる体制を整えることで、組織全体の受注率と粗利を底上げできます。

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