オフィスWi-Fi工事の費用|AP配置設計と業者選び

事業所のWi-Fi環境を「家庭用ルーターを増やせばいいだろう」と考えてしまうと、接続不安定・電波干渉・セキュリティ穴・運用負荷の4重苦に陥ります。30人を超えるオフィスや店舗・倉庫では、業務用アクセスポイント(AP)を計画的に配置するWi-Fi工事が標準で、初期投資は20万〜数百万円規模になります。一方で「とりあえず1台」と買って失敗すると、追加投資で総額が膨らみ、配線をやり直す二度手間になります。
本記事では、オフィスWi-Fi工事の費用相場をAP台数・規模別に整理し、サイトサーベイ(電波調査)・LAN配線連動・PoE給電・運用管理機能の追加費、自社規模に応じた業者選びの確認ポイントを、施設管理者・IT担当者の目線で解説します。
オフィスWi-Fiが家庭用ルーターでは足りない4つの理由
業務用Wi-Fi工事を検討する前に、なぜ家庭用機器で代替できないのかを整理します。
| 課題 | 家庭用機器の限界 | 業務用APの解決方法 |
|---|---|---|
| 同時接続台数 | 1台あたり10〜20台が目安 | 業務用APは50〜200台同時 |
| エリアカバー | 30〜50m²程度 | 1台で100〜200m²カバー |
| 電波干渉 | 自動最適化なし | 中央制御で電波調整 |
| セキュリティ | 基本的な暗号化のみ | VLAN・認証・ゲスト分離 |
人数30人以上・面積100m²以上の事業所では、家庭用機器の組み合わせでは安定運用が難しく、業務用Wi-Fi工事が標準解になります。
AP台数別の費用相場(工事費込み)
直近の見積実績から、規模別の中央値です。
| 規模 | AP台数の目安 | 工事費総額 |
|---|---|---|
| 小規模オフィス(〜30人・1フロア) | 2〜3台 | 25万〜55万円 |
| 中規模オフィス(30〜80人・1〜2フロア) | 4〜8台 | 50万〜120万円 |
| 大規模オフィス(80人〜・複数フロア) | 10〜20台 | 130万〜350万円 |
| 倉庫・工場(500m²以上) | 5〜15台 | 80万〜250万円 |
| ホテル・大型商業施設 | 20台〜 | 300万円〜 |
上記は標準的な仕様(AP本体・PoE対応スイッチ・サイトサーベイ・基本配線含む)の中央値。
内訳の標準パターン(中規模オフィスの例)
| 項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 業務用AP本体(5台) | 25万〜50万円(1台5万〜10万円) |
| PoE対応LANスイッチ | 10万〜25万円 |
| サイトサーベイ(電波調査) | 5万〜15万円 |
| 配線工事(CAT6A、距離計) | 10万〜25万円 |
| 設定・チューニング | 5万〜15万円 |
| 管理コントローラ(クラウド型) | 0〜10万円(年額) |
中規模オフィスで5台AP導入の標準ケースで、合計55万〜130万円程度です。
サイトサーベイ(電波調査)の重要性
オフィスWi-Fi工事で最も重要なのが、設置前のサイトサーベイ(電波調査)です。
サイトサーベイで実施する内容
- 既存電波環境の測定:既設Wi-Fi、Bluetooth、電子レンジ等の干渉源
- 建物構造の把握:壁材・パーティション・什器による電波減衰
- AP設置候補位置の絞り込み:図面ベースでの配置案作成
- 想定接続台数の試算:人数・端末数からAP負荷を計算
- 報告書作成:推奨AP台数・配置・チャネル設計
サイトサーベイ未実施のリスク
サイトサーベイなしで「とりあえず4台」と発注すると、下記の問題が発生します。
| リスク | 結果 |
|---|---|
| AP配置の偏り | デッドスポット(電波が届かない場所)発生 |
| チャネル設計ミス | 隣接APとの干渉で速度低下 |
| 接続台数の見積誤り | 高負荷で全体のレスポンス低下 |
| 後追いで追加発注 | 本体・工事を再発注、コスト1.5〜2倍 |
サイトサーベイは5万〜15万円の追加費用ですが、「設計ミスを防ぐ保険」として必須項目です。これを省略する業者は要注意です。
PoE給電と既存LAN配線の活用
業務用APは天井設置が一般的で、電源工事を別途行わずPoE(Power over Ethernet)でLANケーブルから電源供給するのが標準です。
| 給電方式 | メリット | 必要な設備 |
|---|---|---|
| PoE(標準・推奨) | 配線1本(LANケーブル)で電源・通信 | PoE対応スイッチ |
| コンセント給電 | 既存コンセントを使えば工事不要 | 各AP設置位置にコンセント |
| PoE++(高出力) | 高機能AP(外付けセンサ等)向け | PoE++対応スイッチ |
PoE対応スイッチの追加費は10万〜25万円ですが、配線工事費が削減できるためトータルではPoE採用が安くなります。
既存LAN配線が再利用できる条件
- CAT5e以上:1Gbps通信に対応するため可
- CAT5以下:再配線が必要
- 配線距離100m以内:規格上限内
- 被覆の劣化なし:築20年以上は要点検
既存配線を再利用すれば、配線工事費の50〜70%を削減できます。LAN配線の状態判断はオフィスのLAN配線工事費用|CAT6/CAT6A別の相場と注意点も参照してください。
業者選びの3つの軸
オフィスWi-Fi工事を発注する業者は、IT系(ネットワーク特化)と電気工事業者系の2系統があり、対応できる範囲が異なります。
軸1:ネットワーク設計力
| 評価ポイント | 確認方法 |
|---|---|
| サイトサーベイの実施有無 | 報告書サンプルを見せてもらう |
| Wi-Fi 6 / 6E / 7対応の知見 | 提案機種が最新規格か |
| VLAN / 認証 / ゲスト分離の経験 | 過去の構築事例 |
| クラウド管理 / オンプレ管理の選択肢 | 両方を比較提案できるか |
軸2:施工力
| 評価ポイント | 確認方法 |
|---|---|
| 電気工事業の登録有無 | 業者登録番号 |
| 大規模配線の実績 | 過去のオフィス施工事例 |
| 天井裏配線の経験 | OAフロア・天井裏の作業実績 |
軸3:保守・運用支援
| 評価ポイント | 確認方法 |
|---|---|
| 24時間遠隔監視 | 監視サービスの有無 |
| 障害時の駆けつけ対応 | エリアカバー範囲 |
| 月次レポート | 通信状況・接続状況の可視化 |
IT系業者は設計力が強い反面、電気工事の許認可がない場合があります。逆に電気工事業者系はインフラ施工力が高くてもネットワーク設計に弱いことがあります。両方の領域に対応できる「電気工事業 + ネットワーク設計」両方できる業者を選ぶのが理想です。
オフィスWi-Fi工事は設計力と施工力の両方が必要です。電気・空調 見積り.com で対応エリア・規模を指定すれば、Wi-Fi工事に強い電気工事業者から見積を取得できます。
工事期間と運用開始までの流れ
| 工程 | 期間 |
|---|---|
| サイトサーベイ・設計 | 1〜2週間 |
| 機器発注・配線工事 | 1〜3週間 |
| AP設置・初期設定 | 1〜3日 |
| チューニング・運用引き渡し | 1週間 |
| 総工期 | 3〜6週間 |
緊急対応で「来週までに使えるように」というオーダーは、サイトサーベイを省略しないと実質不可能です。計画的な発注を推奨します。
ランニングコスト
Wi-Fi工事はイニシャル投資以外に、運用コストも発生します。
| 項目 | 月額相場 |
|---|---|
| クラウド管理ライセンス | 1台あたり1,000〜3,000円/月 |
| オンプレミス管理 | 0円(自社運用) |
| 監視・保守契約 | 規模により2万〜10万円/月 |
| ファームウェア更新代行 | 規模により1万〜5万円/月 |
クラウド管理は手軽ですが、5年累計で機器代相当のライセンス費がかかります。20台規模で月6万〜10万円のランニングを許容できるかが選択基準です。
まとめ
オフィスWi-Fi工事は、AP台数別の標準費用が中規模で50〜120万円、大規模で130〜350万円。家庭用ルーターでは30人・100m²以上の事業所では性能不足です。発注前のサイトサーベイは必須項目で、これを省略する業者からは買わないのが鉄則。PoE給電・既存LAN配線の再利用でコストを削減でき、ネットワーク設計力と施工力の両方を持つ業者が理想です。
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