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一人親方のインボイス|請求書の書き方と、単価を一方的に下げてはいけない理由

一人親方のインボイス|請求書の書き方と、単価を一方的に下げてはいけない理由
※画像はイメージです

一人親方や個人事業の職人に依頼するとき、インボイス(適格請求書)の扱いが問題になります。ここで最も多い誤解が「登録がないなら消費税分を引けばよい」というものです。実際にはそう単純ではありません。この記事では実務の要点を整理します。

なお税務の個別の取り扱いについては税理士にご確認ください。取引条件については独占禁止法や下請法の観点も関わるため、判断に迷う場合は専門家にご相談ください。

一人親方への依頼全般(契約の形、労災の特別加入)は関連記事「一人親方・応援職人の探し方」で扱っています。ここではインボイスに絞ります。

何が変わるのか

仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。

  • 適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録した事業者のみ
  • 登録していない相手からの仕入れは、原則として仕入税額控除の対象にならない
  • ただし一定期間の経過措置が設けられています

「登録がない=すぐに全額が控除できない」ではありません。 経過措置があります。

経過措置

登録のない事業者からの課税仕入れについて、一定割合を控除できる経過措置が段階的に設けられています。

  • 一定期間は仕入税額相当額の一定割合を控除できる
  • 割合は段階的に縮小する

具体的な期間と割合は国税庁の案内で確認してください。 制度の適用時期によって変わります。

単価を一方的に下げてはいけない

ここが最も重要な点です。

相手が登録していないことを理由に、一方的に単価を引き下げることは問題になりえます。

  • 独占禁止法(優越的地位の濫用)
  • 建設業法(不当に低い請負代金の禁止)

「登録していないなら消費税分は払わない」と通告する形は、リスクがあります。

では、どうするか

適切な進め方は次のとおりです。

  1. 登録の有無を確認する(取引開始時、または更新時)
  2. こちらの負担が増える事情を説明する
  3. 単価について協議する(一方的な通告にしない)
  4. 双方が納得した条件を書面に残す
  5. 合意した内容で運用する

3番目の「協議」が要件です。 話し合って双方が納得した結果として単価が決まるのであれば、問題は生じにくくなります。

逆に、説明も協議もなく請求から差し引くのは避けてください。

適格請求書の記載事項

登録している相手からの請求書には、次が記載されている必要があります。

# 記載事項
1 適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号
2 取引年月日
3 取引内容(軽減税率の対象があればその旨)
4 税率ごとに区分して合計した対価の額、および適用税率
5 税率ごとに区分した消費税額等
6 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

1番目の登録番号が最も重要です。 番号がなければ適格請求書として扱えません。

登録番号の確認

受け取った請求書の登録番号は、国税庁の公表サイトで確認できます。

  • 番号から事業者名を確認できる
  • 登録が有効かを確認できる

取引開始時に一度確認し、記録しておくと運用が楽です。 毎回確認する必要はありませんが、初回は確認してください。

一人親方側の判断

依頼を受ける側にとって、登録するかどうかは経営判断です。

登録する場合

  • 取引先が仕入税額控除を受けられる
  • 消費税の申告と納税が発生する
  • 事務の負担が増える

登録しない場合

  • 消費税の申告義務は生じない(免税事業者のままなら)
  • 取引先によっては条件の見直しを求められることがある

「取引先から求められたから」だけで決めず、自分の売上規模と取引先の構成で判断してください。

請求書の様式を整える

登録した一人親方が請求書を作るときの注意です。

  • 登録番号を必ず入れる(毎回)
  • 税率ごとに区分する
  • 消費税額を記載する
  • 端数処理を統一する(1つの請求書で税率ごとに1回)
  • 控えを保存する

登録番号を入れ忘れた請求書は、相手が控除に使えません。 様式に固定で入れておいてください。

社内の運用を決める

インボイスの扱いは、現場ごとに判断が分かれると混乱します。社内で統一してください。

  1. 取引開始時に登録の有無を確認する(確認欄を作る)
  2. 登録番号を取引先マスタに記録する
  3. 請求書の受領時に番号の記載を確認する
  4. 登録がない相手の条件を決めておく(協議のうえで)
  5. 経過措置の適用を経理と共有する

4番目を現場ごとの交渉に任せると、相手によって条件が違う状態になります。 会社としての方針を決めてください。

説明のしかた

登録がない相手に条件を相談するときの伝え方です。

  • 「制度が変わり、当社側の負担が増える部分があります」(事実を伝える)
  • 「単価について一度ご相談させてください」(協議を持ちかける)
  • 「登録される予定はありますか」(相手の状況を聞く)

「引かせてもらいます」と通告する形にしないでください。 一方的な減額は問題になりえます。

よくある質問

Q. 登録していない相手とは取引できないのか A. できます。経過措置がありますし、取引そのものに制限はありません。条件を協議してください。

Q. 消費税分を払わないという合意は可能か A. 一方的な通告は問題になりえます。協議のうえで単価をどうするかを決め、書面に残してください。

Q. 登録番号が請求書にない場合は A. 相手に確認してください。登録しているのに記載漏れなら、記載してもらえば済みます。

Q. 途中で登録した場合は A. 登録日以降の取引から適格請求書を発行できます。登録日を確認してください。

まとめ

適格請求書発行事業者でない相手からの仕入れは、原則として仕入税額控除の対象になりませんが、一定期間の経過措置があります。ここで重要なのは、登録がないことを理由に単価を一方的に引き下げると、独占禁止法や建設業法の観点で問題になりえるという点です。事情を説明し、協議のうえで条件を決め、書面に残してください。適格請求書には登録番号の記載が必須で、番号は国税庁の公表サイトで確認できます。

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