資材高騰への対策|在庫の持ち方と、契約でできること

資材価格の変動は自社では動かせません。それでも、影響を小さくする手はあります。調達のしかたで吸収する方法と、契約で扱う方法の2つです。この記事では、実際に打てる手を整理します。
なお契約に関する記載は一般的な整理です。個別の契約内容については専門家にご確認ください。
打てる手は3方向
| 方向 | できること |
|---|---|
| 調達 | 在庫の持ち方、発注のまとめ方、代替品、中古・余剰品の活用 |
| 契約 | 価格変動の扱い、有効期限、精算の方法 |
| 社内 | 拾い出しの精度、端材の削減、在庫の見える化 |
3番目が最も見落とされます。 買う量そのものを減らせれば、単価が上がっても総額は抑えられます。
在庫を持つべきか
「値上がり前に買っておく」は一見合理的ですが、条件があります。
持つ判断が成り立つ条件
- 確実に使う(受注済みの案件がある、または定番品)
- 保管場所がある
- 劣化しない(金属、配管、電線など)
- 資金に余裕がある
持たないほうがよい条件
- 使う見込みが不確実
- 保管で劣化する(ゴム、樹脂、電池を含む機器)
- 規格が変わる可能性がある
- 保管場所を借りることになる
「値上がりしたから買っておいた」が死蔵在庫になるのが最悪のパターンです。 保管費と劣化損で、値上がり分を上回ります。
発注のまとめ方
- 同じ品目をまとめて発注する(数量による条件が変わることがある)
- 複数現場の分を合わせる(工程が近い現場同士)
- 定番品は定期発注にする(都度交渉の手間が減る)
- 納期に余裕を持たせる(急ぎは条件が悪くなる)
「急いで少量」が最も条件の悪い買い方です。 拾い出しの精度が上がると、この買い方が減ります。
中古と余剰品を選択肢に入れる
新品の価格が上がるほど、中古と余剰品の相対的な有利さが増します。
- 未開封の余剰品: 新品と同じ性能。他社が使わないだけ
- 生産終了品: 新品では手に入らない
- 中古機器: 用途によっては十分(関連記事「中古の業務用エアコンを買うとき」等)
- 端材と定尺の組み合わせ: 自社の在庫から取れないか
特に「未開封の余剰品」は狙い目です。 発注の誤差で余ったものが、規格が合えばそのまま使えます。
代替品の検討
- メーカーを変える(規格が同じなら)
- 仕様を見直す(過剰な仕様になっていないか)
- 国内在庫のあるものを選ぶ(納期の risk も下がる)
設計変更を伴う場合は発注者の承認が要ります。 提案する場合は、性能が同等であることを示す資料を添えてください。
契約でできること
長期の工事では、契約締結時と施工時で価格が変わります。契約で扱う方法があります。
- 価格変動を精算する条項(公共工事ではスライド条項の運用がある)
- 見積の有効期限を明記する(「本見積の有効期限は◯日」)
- 単価の前提を書く(「◯年◯月時点の単価による」)
- 著しい変動時の協議条項
最低限、見積書に有効期限と単価の前提を書いてください。 これがないと、半年前の見積で契約を求められたときに断りにくくなります。
社内でできること
買う量を減らす手は、価格に左右されません。
- 拾い出しの精度を上げる(過不足の発注を減らす)
- 端材を減らす(取り都合を計算してから切る)
- 在庫を見える化する(発注前に見る。関連記事「建設業の資材棚卸」)
- 現場の余りを回収する(次の現場で使う)
- 規格を統一する(種類が減れば在庫の効率が上がる)
5番目は中長期の手ですが、効果が大きい打ち手です。 使う規格が絞られると、在庫が回転しやすくなります。
発注者への説明
価格上昇を転嫁する場面では、説明の材料が要ります。
- 公表されている指数や統計(客観的な根拠になる)
- 仕入先からの通知(値上げの案内)
- 過去の同種工事との比較
根拠を示さずに金額だけを上げると交渉になりません。 資料を揃えてから話してください。
相見積を取るときの型
価格が動く時期ほど、相見積の取り方が効きます。
- 同じ仕様書で聞く(型番、数量、納期を揃える)
- 納期を明記する(急ぎかどうかで条件が変わる)
- 数量をまとめて聞く(分割せずに総量で)
- 有効期限を確認する(いつまでその価格か)
- 代替品の提案を求める(同等品があれば出してもらう)
5番目を明示的に聞くと、仕入先から選択肢が出てきます。 「この型番で」とだけ言うと、在庫がない場合に納期回答だけが返ってきます。
また、価格だけでなく納期と在庫の有無を並べて比較してください。安くても入らなければ工程が止まります。
よくある質問
Q. 買いだめは有効か A. 確実に使う品目で、保管場所があり、劣化しないものに限れば有効です。それ以外は死蔵在庫になる risk があります。
Q. どのくらい先まで在庫を持つべきか A. 受注済みの案件で使う量が目安です。見込みで持つ量は少なくしてください。
Q. 中古はどこで探すか A. 業者間の直接取引の場があります。規格が特定できるものほど見つかりやすくなります。
Q. 見積の有効期限はどのくらいが妥当か A. 変動の大きい品目を含むなら短めに設定してください。相手との関係と品目で決まります。
Q. 値上げの通知が来たらどうするか A. 通知は根拠資料として保管してください。発注者への説明で使えます。
Q. 複数の仕入先を持つべきか A. 価格だけでなく在庫と納期の risk 分散になります。主要な品目については2社以上あると安心です。
まとめ
資材高騰への対策は、調達・契約・社内の3方向にあります。在庫を持つ判断は「確実に使う」「保管場所がある」「劣化しない」の3条件が揃うときに限り、そうでない買いだめは死蔵在庫になります。契約では最低限、見積の有効期限と単価の前提を明記してください。そして最も見落とされるのが社内の手で、拾い出しの精度、端材の削減、在庫の見える化は価格に左右されずに効きます。
未開封の余剰品は、新品と同じ性能で他社が使わないだけのものです。GenbaLink 在庫マーケット で規格を指定して探せます。
在庫の持ち方は建設業の資材棚卸、発注の精度は拾い出しの精度と発注ロスで扱っています。




