電気工事の協力業者を探す|みなし登録と主任電気工事士の確認から

電気工事の協力業者を探すとき、建設業許可の有無だけを見て決めると足りません。電気工事には、建設業法とは別の法律に基づく登録の制度があります。ここを知らずに発注すると、無登録の業者に工事をさせることになりかねません。
制度の詳細は所管の窓口(都道府県、産業保安監督部)でご確認ください。ここでは相手を見る観点を扱います。
建設業許可とは別の登録がある
電気工事業を営むには、電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)に基づく登録・届出が必要です。建設業許可を持っていても免除されません。
| 区分 | どういう会社か |
|---|---|
| 登録電気工事業者 | 建設業許可がなく、一般用電気工作物等の工事をする |
| みなし登録電気工事業者 | 建設業許可を持ち、電気工事をする |
| 通知電気工事業者 | 建設業許可がなく、自家用電気工作物のみを扱う |
| みなし通知電気工事業者 | 建設業許可を持ち、自家用電気工作物のみを扱う |
建設業許可を持つ会社は「みなし登録電気工事業者」の届出をしている必要があります。 「建設業許可があるから大丈夫」と考えている業者が実際にいます。確認してください。
登録そのものの手続きと、許可との関係は電気工事業の「登録」と建設業許可はどう違うかで詳しく扱っています。ここでは相手を見る側の観点に絞ります。
主任電気工事士
登録電気工事業者・みなし登録電気工事業者は、営業所ごとに主任電気工事士を置く必要があります。
- 第一種電気工事士
- または第二種電気工事士で、免状の取得後3年以上の実務経験がある者
営業所ごとです。 支店を出しているのに本社にしか有資格者がいない、という状態は要件を満たしません。
現場でできる工事の範囲が資格で変わる
ここが電気工事の特徴です。人によって触れる範囲が違います。
- 第二種電気工事士:一般用電気工作物(一般住宅、小規模店舗など)
- 第一種電気工事士:自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)も可
- 認定電気工事従事者:自家用のうち簡易電気工事(低圧部分)が可
- 特種電気工事資格者:ネオン工事、非常用予備発電装置工事
キュービクルのある建物の低圧改修を第二種だけの職人に任せることはできません。 現場の設備の種別と、来る人の資格が合っているかを、発注の前に突き合わせてください。
探すときに見る名簿
登録の制度があるということは、行政が名簿を持っているということです。
- 都道府県の電気工事業者の登録に関する窓口
- 産業保安監督部(自家用のみを扱う通知業者など)
- 電気工事業の組合(都道府県ごとの工事業工業組合)
- 建設業者の検索システム(建設業許可の側から)
3番目は実務的に使えます。 組合の名簿には地域ごとの業者が並んでおり、規模や得意分野の当たりが付きます。飛び込みで探すより、組合経由の紹介のほうが早いことがあります。
電気工事ならではの確認事項
- みなし登録(または登録)の届出をしているか
- 主任電気工事士を営業所に置いているか
- 来る職人の資格の区分(第一種/第二種/認定/特種)
- 高所作業車、絶縁用保護具などの装備
- 停電作業の経験(受変電設備を扱うか)
- 官公庁の実績(電気工事業の経審を受けているか)
3番目を人単位で確認してください。 会社に第一種の有資格者がいても、現場に来るのが第二種だけということがあります。
繁忙期と手配の時期
電気工事は他職種との取り合いが多く、押し出されやすい職種です。
- 建物の工程では内装の前後に集中する
- 年度末(3月)と年度初めは官公庁工事で逼迫する
- 停電を伴う改修は土日・夜間に寄るため人が限られる
- 猛暑期は空調の更新と重なり、応援が取りにくい
停電を伴う工事は、日程が先に決まるので手配も早く動けます。 逆に、工程の遅れで押された電気工事の応援を直前に探すのが最も難しくなります。
得意分野で分かれる
同じ電気工事業でも、会社によって守備範囲が違います。
| 分野 | どういう会社か |
|---|---|
| 住宅・小規模店舗 | 一般用電気工作物が中心。小回りが利く |
| ビル・工場の電気設備 | 受変電、動力、幹線を扱う |
| 通信・弱電 | ネットワーク、防犯、放送 |
| 太陽光・蓄電池 | 発電設備の施工と系統連系 |
| 制御・計装 | 盤の製作、シーケンス |
「電気の業者」とだけ聞いて呼ぶと、扱えない現場に来てもらうことになります。 最初の打ち合わせで、直近3年の主な工事を聞いてください。得意分野が具体的に出てきます。
初回の発注で見る点
新しい相手に初めて出すときは、小さい工事から始めます。
- 見積の内訳が出せるか(一式ではなく積み上げ)
- 資格証と登録の写しがすぐ出てくるか
- 現場写真と報告が出るか
- 手直しの対応が速いか
- 請求の締めが守られるか
3番目は隠れた工事の多い電気で特に重要です。 天井裏や壁内の施工は、後から見えません。写真が出る会社は、見えない部分の施工も丁寧なことが多くあります。
よくある質問
Q. 建設業許可がなくても頼めるか
軽微な建設工事の範囲であれば請け負えます。ただし電気工事業の登録は別途必要です。許可がないことと登録がないことは別問題です。
Q. 一人親方に頼む場合の確認は
資格の区分と、労災保険の特別加入の有無を確認してください。会社としての登録が必要な範囲の工事なら、その点も見ます。
Q. 電気工事士の免状はどう確認するか
免状の写しをもらいます。氏名と種別、交付年月日を見てください。
Q. 遠方の業者に頼めるか
登録は営業所の所在地の行政庁に対して行いますが、工事の場所は限定されません。ただし移動費と、急な呼び出しへの対応を考えると近いほうが有利です。
Q. 登録の有無は外から確認できるか
営業所には登録票(標識)の掲示が求められています。あわせて登録証の写しを提出してもらってください。
まとめ
- 建設業許可とは別に電気工事業の登録・届出が要る。許可持ちは「みなし登録」
- 営業所ごとに主任電気工事士が必要
- 触れる範囲は人の資格で変わる。第一種/第二種/認定/特種を人単位で見る
- 行政や組合の名簿から探せる。飛び込みより早い
- 停電を伴う工事は日程が先に決まる。応援の手配も早く動ける
探し方の全体像は協力業者の探し方で扱っています。




