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電気工事業の「登録」と建設業許可はどう違うか|必要になる場面と手続きの順番

電気工事業の「登録」と建設業許可はどう違うか|必要になる場面と手続きの順番
※画像はイメージです

電気工事を業として行うとき、「建設業許可を取ればよい」と思われがちですが、実際には根拠法の違う2つの制度が関わります。片方だけで済む場合も、両方必要な場合もあります。この記事では2つの制度の役割を分け、どの場面で何が要るのかを整理します。

なお本記事は制度の全体像を実務者向けに整理したものです。個別の該当性や手続きの詳細は、所管の窓口(都道府県、産業保安監督部)または行政書士にご確認ください。

2つの制度は目的が違う

まず、この2つは競合する制度ではありません。見ているものが違います。

建設業許可 電気工事業の登録
根拠法 建設業法 電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)
何のための制度か 工事を請け負うことに対する許可 電気工事を施工するための登録
主な着眼点 経営体制、財産的基礎、技術者の配置 主任電気工事士の設置、器具の備付け、標識の掲示

つまり、「請け負ってよいか」を見るのが建設業許可、「施工してよいか」を見るのが電気工事業の登録です。役割が違うため、片方があればもう片方が不要になるという関係ではありません。

建設業許可が不要になる範囲

建設業法では、一定規模以下の工事を「軽微な建設工事」として、許可がなくても請け負えることになっています。基準は次のとおりです。

  • 建築一式工事以外の工事(電気工事はここ): 工事1件の請負代金が500万円未満(税込)
  • 建築一式工事: 工事1件の請負代金が1,500万円未満(税込)、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事

出典: 建設業法および同施行令。なお2025年2月の施行令改正で引き上げられたのは特定建設業の下請代金の基準(一般建設業との区分が4,500万円から5,000万円へ、建築一式は7,000万円から8,000万円へ)であり、上記の軽微な建設工事の基準(500万円/1,500万円)は変わっていません。金額は税込で判断し、注文者が支給する材料費も含めて考える点に注意してください。

注意: 1件の工事を分割して500万円未満に見せる契約は認められません。 実態が1件の工事であれば合算して判断されます。

電気工事業の登録は規模で免除されない

一方、電気工事業の登録は請負金額の大小で免除される仕組みではありません。電気工事を業として行うのであれば、事業所ごとに主任電気工事士を置き、必要な器具を備え、登録または届出をする必要があります。

登録の種類は、建設業許可の有無で名称と手続きが変わります。

登録電気工事業者 建設業許可を持たずに電気工事業を営む場合。電気工事業法に基づいて都道府県知事(複数都道府県にまたがる場合は経済産業大臣)の登録を受けます。登録には有効期間があり、5年ごとの更新が必要です。

みなし登録電気工事業者 建設業許可を受けた建設業者が電気工事業を営む場合。この場合は登録ではなく届出になります。建設業許可を前提とするため登録の更新手続きはありませんが、建設業許可が失効すれば電気工事業も続けられなくなります。

出典: 電気工事業の業務の適正化に関する法律、および経済産業省「電気工事業法の申請・届出等の手引き」。届出先や様式は都道府県によって異なるため、所管窓口で確認してください。

手続きの順番

新規に電気工事業を始める場合、順番を間違えると二度手間になります。

  1. 請け負う工事の規模を想定する。 1件500万円以上を請ける見込みがあるなら建設業許可が要ります
  2. 建設業許可を取るかどうかを決める。 取るなら、許可が下りてから「みなし登録」の届出へ進みます
  3. 主任電気工事士を確保する。 第一種電気工事士、または第二種取得後に3年以上の実務経験がある者
  4. 器具を備える。 絶縁抵抗計、接地抵抗計、回路計など
  5. 登録または届出を行う。 建設業許可なしなら登録、ありなら届出
  6. 標識を掲げ、帳簿を備える。 営業所と施工場所での表示、帳簿の保存が求められます

注意: 建設業許可を先に取った場合、電気工事業の届出を忘れる例が実務では多くあります。 許可が下りた時点で完了と思わないでください。

更新と変更の届出を落とさない

取得した後に手続きを落とす例が実務では多く見られます。特に次の3つです。

  • 建設業許可の更新 5年ごと。期限が切れると許可が失効し、みなし登録電気工事業者としての地位も維持できなくなります
  • 登録電気工事業者の更新 こちらも5年ごと。建設業許可を持たない場合はこの更新が必要です
  • 変更の届出 主任電気工事士の交代、営業所の新設や移転、商号や役員の変更など

建設業許可を新たに取得した会社は、それまでの「登録電気工事業者」から「みなし登録電気工事業者」へ切り替える手続きが必要になります。 許可が下りたら自動的に切り替わるわけではありません。逆に、建設業許可を廃業した場合は登録電気工事業者へ戻す手続きが要ります。

営業所と現場で求められる表示

登録や届出を済ませた後、日常の運用で求められるものがあります。

  • 標識の掲示 営業所および施工場所に、登録番号や主任電気工事士の氏名などを記載した標識を掲げます
  • 帳簿の備付け 施工した電気工事について、所定の事項を記載した帳簿を営業所に備え、保存します
  • 器具の備付け 絶縁抵抗計、接地抵抗計、回路計など。自家用電気工作物を扱う場合は追加の器具が求められます

これらは登録の要件であると同時に、立入検査で確認される項目でもあります。登録して終わりではなく、続けるための条件と考えてください。

発注する側から見るとどう使えるか

工事を依頼する側にとって、この2つは相手を確認する材料になります。

  • 建設業許可 許可番号、業種、有効期限を確認する。一定規模以上の工事を請けられる体制があるかの目安になります
  • 電気工事業の登録・届出 登録番号と主任電気工事士の設置を確認する。施工体制の目安になります

どちらか一方しか確認していないと、片側の適格性しか見ていないことになります。発注する工事の規模が500万円以上なら建設業許可、電気工事の施工が伴うなら電気工事業の登録・届出、と分けて確認してください。

よくある質問

Q. 500万円未満の工事しかしないなら、建設業許可は要らないのか A. 建設業許可は不要ですが、電気工事業の登録は規模で免除されません。また、元請から許可の保有を条件にされることがあります。

Q. 税込か税抜きか A. 税込で判断します。注文者が材料を支給する場合、その材料費も含めて考えます。

Q. 建設業許可を取れば電気工事業の登録は自動で付くか A. 付きません。「みなし登録電気工事業者」としての届出が別に必要です。

Q. 許可番号から何が分かるか A. 許可を出した行政庁、一般か特定か、許可を受けた年度などが読み取れます。読み方は関連記事で扱います。

まとめ

建設業許可は「請け負う」ことへの許可、電気工事業の登録は「施工する」ための登録で、目的が違います。建設業許可は工事1件500万円未満(建築一式は1,500万円未満)であれば不要ですが、電気工事業の登録は規模で免除されません。建設業許可を持つ場合は登録ではなく「みなし登録電気工事業者」の届出になり、許可が失効すれば電気工事業も続けられなくなります。

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