蛍光灯の処分と2027年問題|製造禁止の範囲と、水銀使用製品としての扱い

蛍光灯は「2027年に使えなくなる」と受け取られがちですが、正確には違います。止まるのは製造と輸出入で、手元の在庫を使い続けることは禁止されていません。一方で、廃棄するときの扱いは他の廃棄物より厳格です。この記事では、いつ何が止まるのかと、廃棄時に何が求められるのかを分けて整理します。
2027年末で止まるのは「製造と輸出入」
2023年11月に開催された水銀に関する水俣条約の第5回締約国会議(COP5)で、一般照明用の蛍光ランプについて製造と輸出入を段階的に禁止することが決まりました。時期は種類によって分かれます。
| 種類 | 製造・輸出入の禁止時期 |
|---|---|
| コンパクト形蛍光ランプ | 2025年末まで |
| 直管形蛍光ランプ | 2027年末まで |
重要なのは、禁止されるのが製造と輸出入だという点です。 既にある在庫の販売や、設置済みの蛍光灯を使い続けることは禁止されていません。
出典: 水銀に関する水俣条約 第5回締約国会議(2023年10月30日〜11月3日)の決定。一般社団法人日本照明工業会の案内および各社の公表資料を参照してください。運用の細部は今後の国内法整備で変わる可能性があるため、最新の案内を確認することをおすすめします。
実務上の影響は「入手性」に出る
使用が禁止されないとしても、実務では次の形で影響が出ます。
- 交換用ランプが手に入りにくくなる 製造が止まれば流通在庫が尽きます
- 価格が上がる 供給が減れば単価が上がります
- 器具の寿命との兼ね合い 器具側の安定器も経年で劣化します
∴ 「使えるが、いつまで交換できるかは分からない」という状態になります。更新の計画は、禁止の日付ではなく自社の在庫と交換頻度から逆算するのが現実的です。
廃棄するときは「水銀使用製品産業廃棄物」
ここからが処分の話です。廃蛍光灯は、廃棄物処理法上水銀使用製品産業廃棄物として扱われます(2017年の法改正で位置づけが明確化されました)。事業者には次が求められます。
- 他の廃棄物と分けて保管する
- 保管場所に、水銀使用製品産業廃棄物である旨の表示をする
- その種類を扱える許可を持つ業者に委託する
- 委託契約書に、水銀使用製品産業廃棄物である旨を記載する
- マニフェストにもその旨を記載して交付する
- 契約書とマニフェストを保存する
3番目が実務上の制約になります。 この種類を扱える業者は限られるため、いつもの産廃業者が受けられるとは限りません。数量がまとまる工事の前に、受け入れ先を確認しておいてください。
現場での扱い
- 割らない 破損すると水銀が飛散します。運搬まで割らないことが前提です
- 梱包する 元の箱、または専用のケースに入れる
- 他の廃棄物と混ぜない 混ざると全体の扱いが変わります
- 直管型LEDランプと分ける 外観が似ているため混ざりやすい(詳しくは関連記事「LED照明の処分」)
更新工事の段取り
蛍光灯からLEDへの更新では、次の順で考えると漏れがありません。
- 既設の器具の種類と台数を把握する
- 安定器のPCB該当を確認する(古い器具では必要。関連記事「分電盤・キュービクルの処分」)
- ランプと器具本体を分けて処理する計画を立てる
- 水銀使用製品産業廃棄物を扱える委託先を確保する
- 撤去、分別、梱包
- 委託とマニフェスト
2番目と4番目は日数がかかることがあります。 工期の直前に始めると間に合いません。
在庫をどれだけ持つか
買いだめすべきかは、次の計算で決められます。
- 設置してある蛍光灯の本数を種類別に数える
- 年間の交換本数を過去の実績から出す
- 器具の残存年数を見積もる(更新予定があるならその年まで)
- 必要本数 = 年間交換本数 × 更新までの年数
3番目が要点です。 5年後に器具ごとLEDへ更新する予定なら5年分だけあればよく、それ以上は死蔵になります。逆に更新予定が立っていない設備は、多めに見ておく判断もあります。
保管の実務
在庫を持つなら、保管中に割らないことが前提になります。
- 元の箱のまま、立てて保管する(横積みは荷重で割れる)
- 高所に積まない(落下が最大の破損原因)
- 通路に置かない
- 先入れ先出しにする(古い在庫から使う)
- 割れた場合の処理手順を決めておく(飛散防止と、水銀使用製品としての処理)
割れた蛍光灯も同じ区分で処理します。 現場で割れたときに掃いて一般ごみへ、という運用にならないよう周知してください。
よくある質問
Q. 2028年以降、蛍光灯を使っていると違法になるか A. なりません。禁止されるのは製造と輸出入で、使用と在庫の販売は対象外です。
Q. 在庫を買いだめしておくべきか A. 交換頻度と器具の残存年数から必要量を見積もってください。ただし器具側の劣化もあるため、更新計画とあわせて判断するほうが合理的です。
Q. 少量の廃蛍光灯でも分別が必要か A. 必要です。数量にかかわらず、水銀使用製品産業廃棄物としての扱いになります。
Q. 割れてしまった蛍光灯はどうするか A. 飛散を防いだうえで、割れたものも同じ区分で処理します。委託先に状態を伝えてください。
発注者や管理会社への伝え方
ビルやテナントの管理者から「蛍光灯は使えなくなるのか」と聞かれる場面が増えます。次の順で伝えると誤解が生じません。
- 使用は禁止されない(止まるのは製造と輸出入)
- 交換用ランプが手に入りにくくなる(実務上の影響はここ)
- 時期は種類で違う(コンパクト形は2025年末、直管形は2027年末)
- 更新の判断は在庫と器具の残存年数で決める
- 廃棄時は分別と専用の委託が要る(費用が発生する理由)
1番目を最初に言うことが大事です。 「使えなくなる」と受け取られたまま話が進むと、不要な緊急対応になります。
まとめ
蛍光灯の2027年問題で止まるのは製造と輸出入です。コンパクト形は2025年末、直管形は2027年末が期限で、既存在庫の使用と販売は禁止されません。実務上の影響は交換用ランプの入手性と価格に出るため、更新計画は日付ではなく自社の在庫と交換頻度から逆算してください。廃棄時は水銀使用製品産業廃棄物として、分別保管・表示・専用の許可業者への委託・契約書とマニフェストへの記載が必要です。
更新工事で余った未使用のランプや、規格の合う在庫は捨てる対象ではありません。GenbaLink 在庫マーケット で建設業者どうしの直接売買に出せます。
切り替え先の扱いはLED照明の処分、器具ごとの積算は照明器具の処分費を積算にどう入れるかで扱っています。




