出来高払いと前払金|下請代金の取り決めと中間前払金

下請代金の払い方は、大きく前払(着手前の支払)・出来高払い(工事の途中で、できた分に応じて払う部分払)・完成後の一括払いの組み合わせです。建設業法は、元請が出来形部分への支払や完成後の支払を受けたら、1か月以内でできる限り短い期間内に、下請の施工した分に相応する代金を払うこと(第24条の3第1項)、そして前払金を受けたら、下請にも資材の購入や労働者の募集など着手に必要な費用を前払金として払うよう適切に配慮することを求めています(同条第3項)。
公共工事では、元請が発注者から受け取る前払金と中間前払金の仕組みがあり、その資金を下請に回すことが、この配慮の中身になります。この記事では、出来高払いと前払の取り決め方を、元請と協力会社の双方の目線で整理します。支払期日の上限(特定建設業者の50日ルールなど)は下請代金の支払期日で扱っています。
3つの払い方
| 払い方 | いつ払うか | 下請にとっての意味 |
|---|---|---|
| 前払 | 着手前 | 材料の購入や人の手配の資金になる |
| 出来高払い(部分払) | 工事の途中、できた分に応じて | 長い工事でも資金が回る |
| 完成後の一括払い | 引渡しの後 | 工期が長いと立替えが重くなる |
工期が長い工事や材料費の大きい工事ほど、完成後の一括払いだけでは協力会社の資金が持ちません。 支払条件は単価の前提になるため、見積の依頼の段階で示してください。依頼の書き方は協力会社への見積依頼で扱っています。
建設業法の決まり
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第24条の3第1項 | 元請は、出来形部分への支払や完成後の支払を受けたら、下請に、支払を受けた日から1か月以内でできる限り短い期間内に、相応する下請代金を払わなければならない |
| 第24条の3第2項 | 下請代金のうち労務費に相当する部分は、現金で払うよう適切に配慮しなければならない |
| 第24条の3第3項 | 元請は、前払金を受けたら、下請に、資材の購入、労働者の募集その他着手に必要な費用を前払金として払うよう適切に配慮しなければならない |
第3項は「配慮」の規定ですが、前払金を受け取っておきながら下請に一切回さない運用は、この趣旨に反します。 元請が受けた前払金の使い道として、協力会社の着手の資金を考えてください。
公共工事の前払金と中間前払金
中央建設業審議会の公共工事標準請負契約約款では、受注者(元請)は、保証事業会社と保証契約を結んで保証証書を発注者に寄託し、請負代金額の一定割合以内の前払金を請求できるとされています(第35条)。約款の注記では、その割合の記入例を10分の4としています。
さらに、前払金を受けた後に、保証事業会社と中間前払金に関する保証契約を結び、請負代金額の一定割合以内の中間前払金を請求できる形も用意されています。約款の注記では、その記入例を10分の2としています。
中間前払金を請求できる条件(工期の経過、工程の進み具合、出来高など)は、発注者ごとに定められています。 国・自治体などの発注機関の定めを確認してください。
公共工事の部分払
同じ約款では、受注者は工事の完成前に、出来形部分と現場に搬入済みの材料に相応する請負代金相当額の一定割合以内について部分払を請求できるとされ(第38条)、注記の記入例は10分の9です。前払金を受けている場合は、その分を差し引いて計算します。
下請契約での取り決め方
中央建設業審議会の建設工事標準下請契約約款も、前金払(第31条)と部分払(第32条)の条項を置き、下請負人が契約書の定めにより請求できる形にしています。部分払の割合の注記は「9以上の数字を記入する」とされています。
下請契約で決めておく項目は次のとおりです。
| 項目 | 決めることの例 |
|---|---|
| 前払の有無と割合 | 着手時に請負代金の何割を払うか |
| 部分払の頻度 | 毎月、隔月など。締め日と支払日 |
| 出来高の確認の方法 | 誰が、何を基準に確認するか(数量、工程、写真) |
| 部分払の割合 | 出来高に相応する額の何割を払うか |
| 前払金の差し引き | 部分払のときに前払金をどう差し引くか |
| 支払の方法 | 現金か手形か。労務費相当分は現金 |
出来高の確認方法を決めていないと、毎月の支払のたびに査定で揉めます。 数量で測れる工事は数量、測りにくい工事は工程表の進み具合で確認する、と先に決めておいてください。
出来高の確認の実務
- 協力会社が出来高の報告を出す(数量、工程、写真)
- 元請の担当者が現場で確認する
- 確認した出来高に、部分払の割合を掛けて支払額を決める
- 前払金を受けていれば、その分を差し引く
- 確認の結果を書面で通知する
確認の結果を書面で返すことで、次回以降の基準がそろいます。 口頭で「今月はこのくらいで」と決めると、累計の出来高がずれていきます。
協力会社の側でやること
- 見積の段階で、前払と部分払の有無を確認する
- 出来高の報告を締め日までに出す(遅れると支払が翌月にずれる)
- 数量と写真で出来高を示す
- 前払金を受けたら、資材の購入や手配に使い、記録を残す
元請が公共工事で前払金を受けているかどうかは、下請の側からは見えにくいものです。 着手前の支払を相談するときは、工事の規模と材料の手配の必要額を示して話をすると進めやすくなります。
よくある質問
Q. 前払を求めるのは失礼ではないか
材料の手配が大きい工事では一般的な相談です。建設業法も、元請が前払金を受けたときの下請への配慮を求めています。
Q. 出来高払いと前払は併用できるか
できます。部分払のときに受け取り済みの前払金を差し引く計算にするのが一般的です。
Q. 中間前払金を下請に回す義務はあるか
建設業法第24条の3第3項は前払金を受けたときの配慮を求めています。具体的な回し方は、下請契約で取り決めてください。
まとめ
- 払い方は前払・出来高払い(部分払)・完成後払いの組み合わせ
- 元請は、支払を受けた日から1か月以内でできる限り短い期間内に下請代金を払う。労務費相当分は現金に配慮
- 元請が前払金を受けたら、下請にも着手に必要な費用を前払金として払うよう配慮する
- 公共工事の約款では前払金(記入例4割)・中間前払金(記入例2割)・部分払(記入例9割)の仕組みがある
- 下請契約では、出来高の確認方法を先に決める
支払条件まで示して協力会社を募集できます。GenbaLink 募集掲示板 では工種・エリア・時期に加え、金額の目安も書いて掲載できます。



