協力会社への見積依頼|依頼書に書くことと見積期間

協力会社に見積を依頼するとき、元請は契約の内容をできる限り具体的に示し、見積に必要な期間を設けることが建設業法で求められています(建設業法第20条第3項)。見積期間は、工事1件の予定価格が500万円未満なら1日以上、500万円以上5,000万円未満なら10日以上、5,000万円以上なら15日以上です(建設業法施行令第5条の9。やむを得ない事情があるときは、後の2つは5日以内に限り短縮できる)。
つまり見積依頼書は、ただのお願いの文書ではなく、法律が求める「提示」をする書面です。この記事では、協力会社への見積依頼書に書くべきことと、見積期間の考え方を整理します。受け取った見積を比べる方法は協力業者の見積を比較するで扱っているので、ここでは依頼する側の準備に絞ります。
法律が求めていること
建設業法第20条第3項は、注文者に次を求めています。
- 随意契約なら契約を結ぶまでに、入札なら入札を行うまでに
- 契約書に書くべき事項(第19条第1項各号。請負代金の額を除く)について、できる限り具体的な内容を示す
- 示してから契約・入札までの間に、政令で定める見積期間を設ける
ここでいう第19条第1項の事項は、工事内容、工期、代金の支払の時期と方法、設計変更や中止の場合の扱いなど、下請契約書に書く項目と同じものです。項目の一覧は下請契約書に必ず入れる項目で扱っています。
見積期間の早見表
| 工事1件の予定価格 | 見積期間 | 短縮 |
|---|---|---|
| 500万円未満 | 1日以上 | なし |
| 500万円以上5,000万円未満 | 10日以上 | やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮可 |
| 5,000万円以上 | 15日以上 | やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮可 |
「明日までに出して」は、500万円以上の工事では原則として法の求める期間を満たしません。 急ぐ事情があっても、短縮できるのは5日以内に限られます。
見積依頼書に書くこと
| 項目 | 書くことの例 | 書かないと起きること |
|---|---|---|
| 工事名・場所 | 現場の所在地、建物の用途 | 移動の手間が見積に入らない |
| 工事内容と範囲 | 図面・仕様書、施工範囲の区切り | 範囲の取り違えで追加精算になる |
| 支給品・別途工事 | 元請が支給する材料、他業者の範囲 | 二重計上や抜けが出る |
| 工期と工程 | 着工・完成の時期、作業できる時間帯 | 人員の手配ができない |
| 現場の条件 | 搬入経路、揚重の有無、駐車場、夜間作業 | 経費が見積に入らない |
| 支払条件 | 締め日・支払日、現金か手形か、出来高払いの有無 | 資金繰りの前提がずれる |
| 安全書類・資格 | 必要な資格、安全書類の提出 | 着工直前に人を入れ替える |
| 設計変更・中止の扱い | 変更時の協議の方法 | 揉めたときの基準がない |
| 見積の提出期限 | 見積期間を満たした日付 | 法の求める期間を欠く |
| 見積書の書式 | 内訳の項目(材料費・労務費・法定福利費など) | 比較ができない |
支払条件を依頼の段階で示すことが、意外と抜けます。 協力会社は支払条件で単価を変えることがあるため、後から示すと見積の前提が崩れます。支払期日の決まりは下請代金の支払期日で扱っています。
内訳を求める書き方
建設業法第20条第1項は、建設業者に、材料費・労務費・法定福利費などの内訳を記載した見積書を作るよう努めることを求めています。依頼する側も、内訳を求める書式を示すと比較がしやすくなります。
- 材料費・労務費・法定福利費・経費を分けて書いてもらう
- 数量と単価を分けて書いてもらう
- 支給品と別途工事を除いた範囲で書いてもらう
なお、見積書に書かれた材料費・労務費などを、通常必要と認められる額を著しく下回るように変更を求めてはならないとされています(同条第6項)。値引きの交渉は、内訳の数字を削る形ではなく、範囲や工程の見直しで行うのが筋です。
現場説明をするか
図面だけで判断しにくい工事は、現場説明(現場を見てもらう機会)を設けてください。
- 日時を複数用意する(協力会社の予定に合わせる)
- 確認してほしい場所を事前に伝える
- 当日の質問と回答を、全ての依頼先に共有する
3番目が公平さの要です。 1社にだけ答えた内容が他社に伝わらないと、見積の前提がそろわず比較できなくなります。
依頼の段取り
| 時期 | やること |
|---|---|
| 依頼の前 | 図面・仕様・工程・支払条件をまとめる。依頼先を選ぶ |
| 依頼の日 | 依頼書と図面を送る。見積期間を満たす提出期限を示す |
| 期間中 | 現場説明。質問への回答を全社に共有する |
| 提出期限 | 見積書を受け取る。前提がそろっているか確認する |
| その後 | 比較し、契約の条件を詰める |
よくある質問
Q. 見積期間は営業日で数えるのか
施行令は「日以上」と定めています。数え方に迷う場合は、余裕を持って期限を設定してください。
Q. 少額の工事でも依頼書は必要か
500万円未満でも、契約書に書く事項をできる限り具体的に示すことは求められています。簡素な書式でよいので、範囲と条件を書面で示してください。
Q. 見積を出してもらったが発注しない場合は
見積の作成には費用がかかります。依頼の段階で、相見積であることや選定の方法を伝えておくと、関係を損ねにくくなります。
まとめ
- 見積依頼では、契約書に書く事項をできる限り具体的に示し、見積期間を設けることが求められる
- 見積期間は500万円未満1日以上、5,000万円未満10日以上、5,000万円以上15日以上(後の2つは5日以内に限り短縮可)
- 依頼書には範囲・支給品・工期・現場条件・支払条件・資格・変更時の扱い・提出期限を書く
- 内訳を求める書式を示す。内訳の数字を著しく下回るよう変更を求めてはならない
- 現場説明の質疑は全ての依頼先に共有する
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