エレベーター撤去の費用|搬出経路と揚重で決まる内訳、見積の揃え方

建物の改修や解体でエレベーターを撤去するとき、見積の幅が非常に大きくなります。同じ機種でも建物の条件で数倍変わるためです。この記事では費用の内訳を分解し、見積を比較できる形に揃える方法を整理します。
なお法定手続きや届出の要否は建物と工事の内容で変わります。具体的な取り扱いは所管の窓口および専門業者に確認してください。
費用の内訳
撤去費用は次の層に分かれます。機器本体の解体そのものは、実は大きな割合ではありません。
| 項目 | 何で決まるか |
|---|---|
| 事前調査 | 機種、年式、図面の有無 |
| 停止と切り離し | 電源、制御、通報装置の解除 |
| 解体 | かご、カウンターウェイト、ガイドレール、機械室機器 |
| 揚重 | 重量物を昇降路内でどう降ろすか |
| 搬出 | 建物内の経路、開口、階段か |
| 運搬 | 車両の寄付けが可能か |
| 処分 | 金属として有価になる部分がある |
| 跡地の処理 | 昇降路をどうするか |
金額を最も動かすのは「揚重」と「搬出」です。
カウンターウェイトが重い
エレベーターの撤去で最も重量があるのは、かごではなくカウンターウェイトです。おもりのブロックが積み重なっており、1つずつ外して降ろすことになります。
- ブロックは1つでも人力では厳しい重量
- 昇降路内での作業になり、足場や仮設が要る
- 降ろした後、建物外へ運ぶ経路が要る
「昇降路の中でどう降ろすか」がこの工事の中心です。 ここの段取りで工期と人工が決まります。
現地調査で見るところ
- 機種と年式(銘板、保守会社の記録)
- 機械室の位置(屋上か、機械室なしタイプか)
- 昇降路の寸法と、足場が組めるか
- 搬出経路(各階の開口、廊下の幅、階段、外部への出口)
- 建物外での車両の寄付け位置
- 周囲の稼働状況(営業中なら作業時間の制限)
- 図面の有無(構造と重量が分かる)
4番目で「かごを分解しないと出せない」と分かると、工数が大きく変わります。 建設時にはクレーンで入れたものが、今は同じ経路で出せないことが普通です。
有価になる部分
エレベーターは金属の塊です。分別すれば処分費が下がります。
- カウンターウェイト: 鉄の塊。重量があるため有価分が大きい
- ガイドレール: 鋼材
- かご: 鋼板とステンレス(内装による)
- 巻上機: 鉄と銅(モーター)
- ロープ: 鋼
- 制御盤: 基板と銅
- かご内装、床材: 廃棄物
カウンターウェイトの鉄が最も大きな有価分になります。 見積で処分費として計上されたままになっていないか確認してください。
見積を比較できる形にする
各社の見積がばらばらになるのは、前提が揃っていないためです。次を渡してください。
- 機種、年式、積載量、階数(銘板の写真)
- 機械室の位置と写真
- 各階の乗場と昇降路の写真
- 搬出経路の写真(幅と段差が分かるもの)
- 車両の寄付け位置
- 作業可能な時間帯
- 跡地をどうするか(塞ぐ、残す、床を作る)
7番目を決めずに依頼すると、後で必ず追加になります。
跡地の処理
エレベーターを撤去した後、昇降路が残ります。ここをどうするかで金額が変わります。
- 各階を塞ぐ(床を作る。構造の検討が要ることがある)
- 開口のまま残す(安全対策と将来の用途を確認)
- 昇降路ごと解体する(建物の解体と一体の場合)
- 乗場の開口を塞ぐ(壁を作る)
構造に関わる場合は設計側の判断が要ります。 撤去業者だけでは決められません。
手続きと届出
エレベーターは建築基準法上の設備であり、撤去にあたって手続きが必要な場合があります。
- 保守契約の解約と、保守会社への連絡
- 遠隔監視、非常通報装置の解除
- 定期検査報告の扱い
- 建築確認や届出の要否(建物と工事の内容による)
保守会社への連絡を忘れると、撤去後も課金が続くことがあります。 発注者側の手続きとして確認を促してください。
保守会社との関係を整理する
エレベーターには保守契約が付いています。撤去にあたっては、この関係の整理が先に来ます。
- 保守会社に撤去の予定を伝える(機器の情報や図面を持っていることがある)
- 契約の解約時期を確認する(解約の予告期間があることが多い)
- 遠隔監視・非常通報の解除(回線の解約も含む)
- かご内の連絡装置(電話回線の扱い)
- 保守会社が撤去も請けられるか(相見積の1社になりうる)
保守会社は機器を最もよく知っています。 撤去を頼まない場合でも、図面や重量の情報をもらえると見積の精度が上がります。逆に、連絡せずに撤去すると解約が遅れて費用が続くことがあります。発注者側の手続きになるため、確認を促してください。
よくある質問
Q. 撤去費用の相場はどのくらいか A. 建物の条件で数倍変わるため、単一の金額では答えられません。この記事の内訳で見積を分解し、条件を揃えて比べてください。
Q. 撤去した機器は再利用できるか A. エレベーターは建物に合わせて設置されるため、そのままの再利用は一般的ではありません。部品や制御盤に需要があることはあります。
Q. 営業しながら撤去できるか A. できますが、作業時間が限られるため工期と費用が増えます。夜間作業になる場合は割増を見込んでください。
Q. 機械室なしタイプは撤去が楽か A. 機械室の解体はありませんが、昇降路内の機器を降ろす作業は同じです。楽になるとは限りません。
まとめ
エレベーターの撤去費用は機種ではなく、揚重と搬出の条件で決まります。最も重いのはカウンターウェイトで、昇降路内でどう降ろして建物外へ出すかがこの工事の中心です。現地調査では搬出経路と車両の寄付け位置を必ず確認し、見積の依頼時には写真と作業時間帯、そして跡地をどうするかを揃えて渡してください。カウンターウェイトの鉄は有価分が大きいため、処分費として計上されたままになっていないか確認する価値があります。
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同じく揚重が効く工事は高圧受電設備の撤去費用、見積の組み立ては撤去工事の見積で処分費をどう積むかで扱っています。




