撤去工事の見積で処分費をどう積むか|品目横断の組み立て方

撤去工事の見積は、新設工事より外れやすいという特徴があります。壊してみないと分からない部分があること、そして処分費が品目ごとに違うことが理由です。この記事では、品目をまたいで使える見積の組み立て方を整理します。
品目別の詳細は、照明器具は「照明器具の処分費を積算にどう入れるか」、塩ビ管は「塩ビ管の処分費」、建設廃材全般の3層構造は「建設廃材の処分費用はどう決まるか」で扱っています。ここでは横断的な組み立てに絞ります。
4つに分けて積む
撤去工事の費用は、次の4つに分けると外れにくくなります。
| 区分 | 中身 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 撤去手間 | 外す作業そのもの | 作業場所、高さ、養生、時間帯 |
| 横持ち・搬出 | 集積場所まで、そして建物外へ | 経路、階数、エレベーターの可否 |
| 運搬 | 車両で処理先へ | 距離、台数、容積または重量 |
| 処分(有価控除を含む) | 処理費と、売れる分の控除 | 品目、分別の程度 |
「撤去処分一式」で出すと、条件の違う現場で必ず外れます。
撤去手間は場所で変わる
同じ品目でも、どこにあるかで人工が数倍変わります。
- 床置き、露出: 最も容易
- 壁付け: 脚立で届く高さか
- 天井内: 点検口の有無、天井高、開口が要るか
- 床下、ピット: 姿勢がきつく能率が落ちる。換気の確認も要る
- 屋上: 揚重と搬出経路
- 稼働中の建物: 作業時間の制限、養生、夜間割増
見積の依頼を受けたら、まず「どこにあるか」を確認してください。 品目と数量だけでは積めません。
拾い方の型
- 図面と現地で数量を拾う(台数、長さ、面積、重量)
- 品目ごとに分ける(処分の単価が違うため)
- 作業場所ごとに分ける(撤去手間が違うため)
- 有価になりうる品目を分ける(控除に回す)
- 不明な部分を明記する(壊さないと分からない部分)
5番目を明記することが後の追加を防ぎます。 「天井内の配管の残置状況は開口後に確認」と書いておけば、追加の根拠になります。
有価控除をどう示すか
金属を含む撤去では、処分費が収入に転じる部分があります。
- 銅(配管、ケーブル、モーター)
- アルミ(サッシ、ダクト、架台)
- ステンレス(厨房、手すり)
- 鉄(架台、筐体、カウンターウェイト)
示し方は2通りあります。
| 示し方 | 利点 | 注意 |
|---|---|---|
| 処分費から控除して純額で出す | 見積がすっきりする | 相場変動の risk を自社が負う |
| 処分費と有価分を別々に示す | 透明性が高い | 相場で金額が変わる旨の注記が要る |
相場が動く品目なので、「時価による」旨を明記しておくのが安全です。
見積で漏れやすい項目
- 事前調査(アスベスト、PCB該当機器)
- 法定の手続き(フロン回収の行程管理、建設リサイクル法の届出)
- 養生と復旧(天井、壁、床、屋上防水)
- 高所作業車、ローリングタワー、クレーン
- 横持ち(集積場所までの距離)
- 集積場所の確保(置けない場合は毎日搬出になる)
- 残置物の処理(残水、残油、汚泥)
- 開口部の補修
- 夜間・休日の割増
- 交通誘導員、道路使用許可
6番目が確保できないと運搬回数が跳ね上がります。 現地調査で必ず確認してください。
「壊してみないと分からない」の扱い
撤去工事では不確定な部分が必ず残ります。扱い方は次の3つです。
- 見込みで積んで、差異を精算する(精算条件を明記)
- 不確定部分を別途とする(範囲を明確に書く)
- 調査を先に行う(開口して確認してから本見積)
曖昧なまま総額を出すのが最も揉めます。 どの方式かを見積書に書いてください。
発注者への説明
処分費は「見えない作業」なので、金額の根拠を示さないと値引きの対象になります。
- なぜ品目ごとに単価が違うのか(処理のルートが違う)
- なぜ調査が先に要るのか(法令上必要)
- 分別に協力すると下がる部分(発注者側でできること)
- 有価で戻る部分(控除として示す)
3番目と4番目を伝えると、協力が得られることがあります。
見積書の書き方
内訳を持っていても、見積書の書き方で伝わり方が変わります。
- 区分ごとに小計を出す(撤去手間/搬出/運搬/処分)
- 有価分は控除として別行にする(マイナスで表示)
- 前提条件を欄外に書く(作業時間帯、停電条件、集積場所の有無、単価の時点)
- 不確定部分を明記する(「開口後に確認」など)
- 有効期限を書く
前提条件を書いていない見積は、後で必ず揉めます。 「夜間作業は含まない」「集積場所を建物内に確保できる前提」といった一行が、追加交渉の根拠になります。
逆に、条件を書いておけば発注者側も比較しやすくなり、結果として選ばれやすくなります。
よくある質問
Q. 撤去処分一式でよいと言われた A. 発注者がそう言っても、内訳を持っておくべきです。追加や変更が出たときの根拠になります。
Q. 有価分の相場が変わったらどうするか A. 見積時に「時価による」旨を明記し、精算の方法を決めておいてください。
Q. 数量が読めない場合は A. 見込みで積んで精算するか、調査を先に行うかを提案してください。曖昧なまま総額を出さないことです。
Q. 他社より高いと言われた A. 内訳を分けていれば、どこが違うのかを比較できます。一式で出していると比較のしようがありません。
まとめ
撤去工事の見積は、撤去手間・横持ちと搬出・運搬・処分(有価控除を含む)の4つに分けて積むと外れにくくなります。撤去手間は品目より作業場所で決まるため、依頼を受けたら「どこにあるか」を先に確認してください。有価控除は時価による旨を明記し、事前調査・法定手続き・復旧・集積場所の確保が漏れやすい項目です。壊してみないと分からない部分は、見込みで積んで精算するか別途とするかを見積書に明記してください。
撤去で出た機器や資材のうち、まだ使えるものは処分費ではなく収入になります。GenbaLink 在庫マーケット で建設業者どうしの直接売買に出せます。
品目ごとの単価は建設廃材の処分費用はどう決まるか、大型設備は高圧受電設備の撤去費用で扱っています。




