建設リサイクル法の届出|対象になる4つの規模と、着工前の段取り

一定規模以上の工事では、分別解体と再資源化が義務づけられ、着工前の届出が必要になります。規模の基準は工事の種類ごとに違うため、「うちの工事は対象か」が分かりにくいところです。この記事では基準を整理し、着工前の段取りを順に確認します。
なお運用の細部は自治体によって異なります。届出先と様式は工事場所の所管窓口で確認してください。
対象になる4つの規模
建設リサイクル法の対象建設工事は、次の4つの基準で決まります。
| 工事の種類 | 規模の基準 |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積の合計 80㎡以上 |
| 建築物の新築・増築工事 | 床面積の合計 500㎡以上 |
| 建築物の修繕・模様替(リフォーム等) | 請負金額 1億円(税込)以上 |
| その他の工作物に関する工事(土木工事等) | 請負金額 500万円(税込)以上 |
出典: 国土交通省および各自治体の案内。建築物の解体は80㎡と基準が低いため、小規模な解体でも対象になることが多い点に注意してください。
届出は着工7日前まで
対象工事では、工事に着手する日の7日前までに届出が必要です。
- 届出をするのは発注者(元請が代行することが多い)
- 届出先は都道府県知事または市区町村長(自治体による)
- 分別解体等の計画を記載する
「7日前」は着工日から逆算した実日数です。 週末や祝日を挟むと余裕がなくなるため、早めに準備してください。
特定建設資材とは
分別解体と再資源化の対象になる資材は次の4つです。
- コンクリート
- コンクリートおよび鉄からなる建設資材(鉄筋コンクリートなど)
- 木材
- アスファルト・コンクリート
これらが工事で使われている、または使われる場合に、分別解体と再資源化が義務づけられます。
石膏ボードや断熱材は特定建設資材ではありません。 ただし分別が不要という意味ではなく、それぞれの理由で分別が必要です(関連記事「石膏ボードの処分」「断熱材の処分」)。
着工前の段取り
- 工事の種類と規模を確認する(対象かどうかの判定)
- 事前調査を行う(建物の構造、使われている資材、アスベストの有無)
- 分別解体等の計画を作成する
- 発注者に説明する(書面での説明が求められます)
- 契約書に必要事項を記載する
- 届出を行う(着工7日前まで)
- 標識を掲示する
- 分別解体を実施する
- 再資源化を実施する
- 発注者に完了を報告する(書面で)
2番目のアスベスト調査は建設リサイクル法とは別の制度ですが、時期が重なります。 両方を同じ調査の機会にまとめると効率的です。
分別解体の実務
分別解体とは、建築物を壊す順序を決めて、資材ごとに分けて取り外していくことです。
- 手作業と機械作業の使い分け
- 付属物、内装材を先に撤去する
- 躯体を最後に解体する
- 資材ごとに集積場所を分ける
「まとめて壊して後で分ける」ができないのが分別解体です。 混ざってからでは分けられないため、順序が計画の中心になります。
書類の流れ
対象工事では、次の書類が必要になります。
| 書類 | 誰が | いつ |
|---|---|---|
| 事前調査の結果 | 元請 | 契約前 |
| 発注者への書面説明 | 元請 | 契約前 |
| 契約書の記載事項 | 発注者と元請 | 契約時 |
| 届出書 | 発注者(元請が代行可) | 着工7日前まで |
| 標識 | 元請 | 工事中 |
| 再資源化等の完了報告 | 元請 | 完了後 |
最後の完了報告を忘れる例が実務では多くあります。 工事が終わって現場が解散した後の作業なので、担当を決めておいてください。
下請への周知
対象工事であることは、現場に入るすべての業者が知っている必要があります。
- 新規入場者教育で伝える
- 集積場所の表示を分かりやすくする
- 混ぜてはいけない組み合わせを掲示する
分別解体は元請だけでは実行できません。 各職種が協力しないと成立しない仕組みです。
発注者への説明で押さえること
建設リサイクル法の届出は発注者の義務です。元請が代行することが多いのですが、発注者が制度を知らないと段取りが進みません。
- 届出は発注者の名義であること
- 着工7日前までという期限があること
- 契約前に書面での説明が必要なこと
- 完了後に報告を受け取ること
「7日前」を伝えるタイミングが遅いと、着工日を動かすことになります。 見積や契約の打ち合わせの段階で、届出の日程を工程表に入れて示してください。
また、発注者が個人の場合は特に丁寧な説明が要ります。 制度そのものを知らないことが多く、書面を渡すだけでは伝わりません。
よくある質問
Q. 解体80㎡はどう数えるか A. 床面積の合計です。複数階の建物では各階の合計になります。判定に迷う場合は所管窓口に確認してください。
Q. 届出をしないとどうなるか A. 法令違反となり、罰則の対象になりえます。また発注者にも義務があるため、双方に影響します。
Q. 対象外の小規模工事でも分別は必要か A. 建設リサイクル法の届出義務はなくても、産業廃棄物としての適正な処理は必要です。分別すれば処分費も下がります。
Q. 再資源化の記録はどう残すか A. 処理業者からの受領書やマニフェストの返送分が記録になります。完了報告に使うため保管してください。
まとめ
建設リサイクル法の対象は、解体80㎡以上、新築・増築500㎡以上、修繕・模様替1億円以上、その他工作物500万円以上の4基準で決まります。解体は基準が低いため小規模でも対象になりやすい点に注意してください。届出は着工7日前までで、事前調査、発注者への書面説明、契約書の記載、標識の掲示、完了報告までが一連の流れになります。分別解体は「まとめて壊して後で分ける」ができないため、解体の順序が計画の中心になります。
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