建設業許可にかかる費用と期間|自分で取る場合と依頼する場合

許可を取ると決めたあと、次に知りたいのは「いくらかかって、いつ下りるか」です。工事の受注予定が絡むため、期間の読み違いが最も痛い部分です。
金額と期間は許可行政庁や申請の区分によって異なります。最新の額と処理期間は、申請先の窓口の案内でご確認ください。ここでは費用の構造と、期間が延びる原因を扱います。
費用は3つに分かれる
- 法定費用(許可行政庁に納める手数料・登録免許税)
- 書類の取得費用(登記事項証明書、納税証明書、身分証明書など)
- 依頼する場合の報酬
法定費用は、都道府県知事許可の新規申請で9万円、国土交通大臣許可の新規申請で15万円が目安です。一般と特定を同時に取る場合は、それぞれに費用がかかります。
2番目は数千円から1万円程度に収まることが多いのですが、役員が多い会社では人数分必要になるため積み上がります。
期間は「準備」が大半
許可が下りるまでの時間は、次の2つに分かれます。
| 段階 | 目安 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 書類の準備 | 数週間〜数か月 | 実務経験の証明資料が残っているか |
| 審査(標準処理期間) | 知事許可でおおむね1か月前後、大臣許可はより長い | 行政庁の運用 |
多くの会社にとって、時間がかかるのは前半です。 審査そのものは書類が整っていれば流れます。逆に、10年分の請求書を探す作業が始まると、そこで数か月止まります。
期間が延びる典型
- 実務経験を証明する資料が見つからない(過去の会社が廃業している等)
- 常勤性の確認資料が足りない(健康保険証、住民票、通勤経路)
- 社会保険が未加入で、加入手続きから始める必要がある
- 決算が古く、直近の財務諸表を作り直す必要がある
- 役員の一人が欠格要件の確認で時間を要する
3番目は意外に多く、加入手続きに時間がかかると全体が後ろにずれます。 許可を検討し始めた時点で、社会保険の状況を先に確認してください。
自分で取るか、依頼するか
判断の材料は次のとおりです。
- 要件を明らかに満たしていて、資料もそろっている → 自分で申請できる
- 実務経験10年で技術者要件を満たす → 資料の整理が重く、依頼を検討する価値がある
- 常勤役員等の経験が「準ずる地位」で微妙 → 事前相談が必要になるため依頼が向く
- 受注の期限が決まっている → 差し戻しのリスクを減らすため依頼が向く
報酬は事務所によって幅があります。 何が含まれるか(書類の取得代行、窓口対応、決算変更届の初回分など)で比較してください。金額だけを並べると比較になりません。
取得後にも費用は続く
許可は取って終わりではありません。維持のための手続きがあります。
- 決算変更届(毎年、決算後4か月以内)
- 変更届(役員、営業所、技術者などが変わったとき)
- 更新申請(5年ごと)
1番目を出し忘れていると、更新のときにまとめて出すことになります。 年1回の作業として社内の予定に入れておくのが確実です。
スケジュールの引き方
受注の予定から逆算します。順番は次のとおりです。
- いつまでに許可が必要かを決める(元請への提出期限、入札の参加資格審査の受付期間)
- そこから審査期間を引く(知事許可でおおむね1か月前後)
- さらに書類の準備期間を引く
- 実務経験10年で証明するなら、資料の収集に2〜3か月を見込む
- 社会保険が未加入なら、その手続きを最初に置く
逆算すると「今から動いても間に合わない」と分かることがあります。 その場合は、その工事は下請で入る、あるいは許可のある会社と組む、といった別の手を早く検討できます。期限が見えてから慌てるより健全です。
依頼先を比べるときの見方
報酬の金額だけを並べても比較になりません。次を揃えて聞いてください。
| 確認する点 | なぜ見るか |
|---|---|
| 含まれる範囲 | 書類の取得代行、窓口対応、事前相談が入っているか |
| 追加費用の条件 | 資料が足りない場合、業種を増やす場合 |
| 不許可のときの扱い | 返金や再申請の条件 |
| 取得後の対応 | 決算変更届や変更届を継続して頼めるか |
| 連絡の取りやすさ | 補正の連絡が来たときに動けるか |
4番目まで見ておくと、毎年の手続きも同じ相手に任せられます。 取得だけを安く済ませて、その後の届出が抜ける会社が実際にあります。
よくある質問
Q. 費用を抑える方法はあるか
法定費用は変えられません。抑えられるのは依頼の範囲です。書類の収集を自社で行い、申請書の作成だけ依頼する形もあります。
Q. 不許可になったら費用は戻るか
法定費用は原則戻りません。だからこそ、要件が微妙な場合は事前相談を挟む価値があります。
Q. 急いでいる場合に短縮できるか
審査期間そのものの短縮は基本的にできません。短縮できるのは準備の期間だけです。
Q. 許可を取る前に受注した工事はどうなるか
許可がない状態で軽微な工事の範囲を超える契約を結ぶことはできません。許可が下りるまでは、金額を分けるのではなく、下請で入るか工期を調整するかで対応することになります。契約を分割して500万円未満に見せる形は認められません。
準備を前倒しできる部分
待つしかない期間と、今から動ける期間を分けて考えると、全体が短くなります。
- 今すぐ動ける:社会保険の加入確認、決算書の整理、資格証の所在確認
- 今すぐ動ける:過去の勤務先への証明依頼(最も時間がかかる)
- 決算を待つ:直近の財務諸表が必要な場合
- 窓口の運用に従う:事前相談の予約、審査
2番目を最初に着手してください。 先方の対応を待つ時間は自社では縮められません。他の準備と並行させることで、全体の期間が数週間単位で変わります。
まとめ
- 費用は法定費用・書類代・報酬の3層。知事許可の新規で法定9万円が目安
- 時間がかかるのは審査より準備。実務経験の証明が最大の変数
- 社会保険の未加入は全体を後ろにずらす。最初に確認する
- 取得後も決算変更届・変更届・更新が続く
要件そのものは建設業許可の取得要件で扱っています。




