施工体制台帳の書き方|記載事項と添付書類、集めるのが大変な順

施工体制台帳は、様式そのものより下請から資料を集める工程が重い書類です。書き方を知っていても、材料が集まらなければ完成しません。
様式や運用は発注者・元請によって異なります。指定の様式がある場合はそれに従ってください。ここでは共通する考え方を扱います。
台帳に書くこと
大きく2つのまとまりに分かれます。
元請自身について
- 商号、住所、許可番号、許可を受けた建設業
- 工事名称、工事内容、工期
- 発注者名と住所、契約日
- 監理技術者(または主任技術者)の氏名、資格、専任か否か
- 監理技術者補佐を置く場合はその情報
- 健康保険等の加入状況
下請業者について(下請ごとに)
- 商号、住所、許可番号、許可を受けた建設業
- 請け負った工事の内容と工期
- その下請が置く主任技術者の氏名と資格
- 健康保険等の加入状況
- 一次・二次といった次数
下請の許可番号と技術者は、相手から出してもらうしかありません。 ここが集まらないと台帳が埋まりません。
添付する書類
- 下請との契約書の写し(注文書・請書の写しでも可とされる場合がある)
- 下請の建設業許可を証する書面の写し
- 主任技術者の資格を証する書面と、雇用関係を証する書面
- 作業員名簿
- 再下請負通知書(二次以降がある場合)
4番目は令和2年10月1日施行の建設業法施行規則の改正で義務化されました。 それ以前は任意の様式だったため、古い運用のままの会社があります。
集めるのが大変な順
実務では次の順で時間を取られます。
| 順位 | 何が大変か |
|---|---|
| 1 | 二次下請以降の情報(一次下請を経由するため時間差が出る) |
| 2 | 主任技術者の雇用関係を示す書類(常用の職人で詰まる) |
| 3 | 作業員名簿の社会保険欄(記入漏れが多い) |
| 4 | 下請の許可証の写し(有効期限が切れていることがある) |
| 5 | 契約書の写し(請書が未回収) |
1番目への対処は、一次下請に「二次以降も含めて期限までに出す」ことを最初に伝えることです。 着工直前に依頼すると必ず遅れます。
変更があったら更新する
台帳は着工時に作って終わりではありません。
- 下請が増えたら追加する
- 工期や工事内容が変わったら直す
- 技術者が交代したら直す
- 契約金額が変わったら直す
現場に常に最新のものを備え置く必要があります。 変更のたびに直す担当を決めておかないと、竣工時にまとめて作り直すことになります。
効率化の手立て
書類の量が多いため、電子化の効果が大きい領域です。
- 労務安全書類の電子化サービスを使う(下請が直接入力する形にできる)
- 下請ごとの提出状況を一覧で管理する
- 着工前の説明会で、必要書類と期限を配布する
- 様式を統一する(現場ごとに違う様式を使わない)
- 前回の現場のデータを流用する
1番目は、元請の入力作業を下請に分散できる点が大きいのですが、下請側に負担と費用が発生します。導入するなら、協力業者への説明を先に行ってください。
着工前にやる説明会
書類が期限どおりに集まるかは、着工前の段取りでほぼ決まります。
- 協力業者を集めて(またはオンラインで)説明する
- 必要書類の一覧と提出期限を紙で配る
- 提出先と担当者を明示する
- 二次以降がいる場合の流れを説明する
- 様式(または利用する電子サービス)を伝える
2番目を口頭で済ませると必ず遅れます。 一覧を配れば、下請の事務担当がそのまま作業できます。
提出状況を一覧で持つ
誰から何が来ていないかを、常に見える形にしてください。
| 会社名 | 契約書 | 許可証 | 技術者資料 | 作業員名簿 | 次数 |
|---|
この表を1枚持つだけで、催促の効率が変わります。 「そろそろ全部そろったはず」という感覚で進めると、竣工検査の直前に穴が見つかります。週1回、埋まっていない欄を確認する運用にしてください。
よくある質問
Q. 注文書と請書でも契約書の代わりになるか
基本的な契約事項を定めた基本契約書があり、個別の注文書・請書がその内容による旨が記載されていれば、これらの写しで足りるとされる運用があります。発注者の指示を確認してください。
Q. 一人親方も作業員名簿に載せるのか
現場に入る人は載せます。一人親方の場合、社会保険や労災保険の加入状況の記載が特に確認されます。
Q. 現場に紙で置く必要があるか
現場に備え置くことが求められます。電子的な方法で閲覧できる状態にする運用が認められる場合がありますが、発注者の求めに応じられることが前提です。
Q. 台帳の様式に決まりはあるか
記載すべき事項が定められており、それを満たす様式であれば差し支えありません。発注者や元請の指定がある場合はそれに従います。
Q. 添付する契約書の写しに金額は必要か
金額を伏せた形での提出が認められる運用があります。発注者や元請の指示を確認してください。
Q. 下請が許可を持っていない場合はどう書くか
軽微な建設工事の範囲であれば許可がなくても請け負えます。その場合は許可の欄が空欄になりますが、その工事が本当に軽微な範囲かを確認してください。
Q. 常用で来てもらう職人はどう扱うか
請負として発注するなら下請として台帳に載せます。労働者として受け入れるなら扱いが変わります。契約の実態で判断されます。
Q. 竣工後に台帳を作り直してもよいか
工事期間中に備え置くことが義務です。後から作ったものでは要件を満たしません。
Q. 発注者が民間で提出を求めてこない場合も作るのか
作成義務は発注者の求めとは関係なく生じます。求められないから作らない、という判断はできません。
まとめ
- 記載は元請自身と下請ごとの2まとまり
- 添付は契約書・許可証・技術者の資格と雇用・作業員名簿
- 作業員名簿は令和2年10月から義務。古い運用のままの会社が残っている
- 時間を取られるのは二次下請以降の情報。着工前に期限を伝える
作成義務そのものは施工体制台帳の作成義務で扱っています。




