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職人単価の決め方|相場を探す前に、自社の単価表を作る

職人単価の決め方|相場を探す前に、自社の単価表を作る
※画像はイメージです

「この職種の相場はいくらか」を探すところから始めると、いつまでも自社の基準ができません。相場は結果であって、根拠ではありません。 先に自社の単価表を作ってください。

地域・時期・職種によって金額は大きく動きます。ここでは金額そのものではなく、組み立て方を扱います。

単価に何が含まれるか

日当(職人本人の取り分)だけでは単価になりません。積むものがあります。

  1. 職人の日当
  2. 法定福利費(社会保険の事業主負担)
  3. 労災保険料
  4. 移動費(車両、燃料、駐車場)
  5. 工具・消耗品
  6. 現場管理費(段取り、書類、連絡)
  7. 一般管理費(事務所、事務員、通信)
  8. 利益

2番目を単価に含めていない会社があります。 社会保険の加入が求められる以上、この負担は単価に反映されるべきものです。含めずに価格競争をすると、加入している会社が不利になります。

条件による調整

同じ職種でも、現場の条件で手間が変わります。標準の単価に対する加減として持ってください。

条件 影響
高所作業(足場、高所作業車)
狭所・搬入経路が悪い
夜間・早朝・休日
稼働中の建物(居ながら施工)
養生の範囲が広い
遠方(宿泊を伴う)
数量がまとまっている
同一現場で長期

「同じ工事なのに前回と金額が違う」と言われたときに説明できるのが、この表の価値です。 感覚で上下させていると説明できません。

単価表の作り方

表計算1枚で足ります。列は次のとおりです。

  • 職種
  • 作業の区分(新設/改修/撤去)
  • 単位(人工、平米、箇所、メートル)
  • 標準単価
  • 条件による割増の一覧
  • 材料の別(材料込みか、手間のみか)
  • 最終改定日

「材料込みか手間のみか」の欄を必ず作ってください。 ここが曖昧なまま見積を出すと、比較にならない金額が並びます。

改定の時期を決める

単価は放置すると実態と乖離します。

  1. 年1回、決算の後に見直す
  2. 資材が大きく動いたときは随時
  3. 最低賃金の改定に合わせて確認する
  4. 協力業者から値上げの申し出があったときに全体を見る

1番目を固定してください。 「そのうち見直す」は見直されません。決算後の作業に組み込むと定着します。

値上げを伝えるとき

自社が受注側で単価を上げたいとき、伝え方で結果が変わります。

  • 根拠を示す(労務費、資材、法定福利費の上昇)
  • 一律ではなく品目を絞る(全部を上げると交渉が固まる)
  • 時期を予告する(次の期から、と伝える)
  • 代わりに提供できるものを添える(工期、対応範囲)
  • 書面で出す(口頭は伝わらない)

「原価が上がったので」だけでは通りません。 何がどれだけ上がったかを示してください。

なお、注文者が一方的に著しく低い代金を定めることは、建設業法上問題となりえます。協議の場を求めること自体は正当です。

相見積を受ける側・出す側

単価表があると、相見積の扱いが変わります。

  • 受ける側:条件を揃えて依頼できる(数量、材料の別、工期)
  • 出す側:安値に引きずられず、条件の違いで説明できる

条件を揃えずに金額だけ並べた比較は、比較になっていません。 「材料込みか」「養生はどちらの負担か」「残材の処分は誰か」を揃えてください。

法定福利費を明示する

社会保険の加入が求められる中で、その原資を見積に明示する取り組みが広がっています。

  • 見積書に法定福利費を内訳として書く
  • 労務費に対する一定の率で算出する
  • 元請に対して、その分を含めた金額として提示する

内訳に書くと、値引き交渉の対象から外しやすくなります。 「一式」の中に埋めていると、値引きのときに真っ先に削られます。業界団体が算出の考え方を示しているので、自社の様式に取り入れてください。

原価を後から確認する

単価表は作って終わりではなく、実績と突き合わせて精度を上げます。

  1. 現場ごとに、投入した人工と実際の出来高を記録する
  2. 見積の前提と実績を比べる
  3. ずれが大きい作業を洗い出す
  4. 条件による割増の設定を見直す
  5. 次の単価表に反映する

3番目で、いつも赤字になる作業が見つかります。 撤去、手直し、狭所の作業は見積が甘くなりがちです。記録がなければ気づけません。

よくある質問

Q. 相場はどこで調べるか

公共工事の労務単価、業界団体の資料、取引のある業者からの見積などが参考になります。ただし自社の原価構造とは別物です。

Q. 安い業者に合わせるべきか

条件が同じかを先に確認してください。材料や処分費が含まれていない、法定福利費を見ていないといった差であることが多くあります。

Q. 一人親方の単価はどう決めるか

社会保険の事業主負担がない分、会社より低く見えることがありますが、本人の保険料や工具の負担があります。実態に合わせて協議してください。

Q. 単価表を協力業者に見せてよいか

標準単価と条件の考え方を共有すると、見積の精度が上がります。開示の範囲は自社の判断です。

Q. 協力業者から値上げを申し入れられたら

根拠を確認したうえで、自社の受注単価への反映を検討してください。一方的に断ると、繁忙期に人が出なくなります。

Q. 単価表は公開すべきか

社内では共有してください。担当者ごとに違う金額を出している状態が、最も信頼を損ないます。

Q. 単価を下げてほしいと言われたら

範囲や条件の変更で対応できないかを先に検討してください。金額だけを下げると、次回以降の基準になります。

Q. 材料支給の場合、単価はどう変えるか

材料費と、その調達に伴う経費・利益の分を差し引きます。ただし材料の管理や余りの扱いが自社に移る点も見てください。

まとめ

  • 相場から入らず、日当+法定福利費+経費+利益で組み立てる
  • 条件(高所・狭所・夜間・稼働中)による割増を表で持つ
  • 単価表には材料込みか手間のみかの欄を必ず作る
  • 年1回、決算後に改定する。放置すると実態と乖離する
  • 値上げは根拠・品目・時期を示して書面で

常用と手間請けの使い分けは常用と手間請けの違いで扱っています。

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