ダクトと保温材の撤去・処分|アスベストの確認が先、分別で費用が変わる

空調設備の更新でダクトを撤去するとき、金属としての価値を先に考えたくなりますが、その前に必ず確認することがあります。保温材の中身です。この記事では確認すべき順序を示し、そのうえで分別と処分の費用構造を整理します。
保温材の確認が最初に来る
古い建物のダクトや配管には、アスベストを含む保温材が使われていることがあります。建築物の解体・改修工事では、着工前にアスベストの有無を調査することが義務づけられており、一定規模以上の工事では調査結果の報告も必要です。
該当した場合、処理は通常の産業廃棄物とはまったく別のルートになります。
- 作業方法、作業計画、届出が変わる
- 作業者の保護、養生、負圧除じんなどの措置が要る
- 処理の単価が大きく変わる
「たぶん大丈夫」で着工することはできません。 調査を工程の前段に入れてください。制度の詳細と該当範囲は所管の窓口または専門の調査機関に確認することをおすすめします。
確認が済んだ後の分別
アスベスト非該当と確認できたら、通常の分別の話になります。ダクトは複数の素材でできています。
| 部位 | 素材 | 扱い |
|---|---|---|
| ダクト本体 | 亜鉛メッキ鋼板(ガルバ)が主流 | 金属くず。有価で動くことがある |
| フレキダクト | アルミ+樹脂+鋼線 | 混合。分離しにくい |
| 保温材 | グラスウール、ロックウール | 廃棄物。かさばる |
| 外装(ラッキング) | アルミ、鋼板 | 金属くず |
| テープ、シール類 | 樹脂 | 廃プラ |
| ダンパー、チャンバー | 鋼板+機構部 | 金属くず |
費用を分けるのは「保温材を剥がすかどうか」です。
保温材を剥がすかの判断
保温材が付いたままのダクトは、混合廃棄物として扱われ、単価が上がります。剥がせば本体は金属として評価されます。
判断の目安は次のとおりです。
- 量が多い 剥がす手間の効果が出る
- 保温材が外装(ラッキング)で覆われている 面で剥がせるので早い
- グラスウールが直接貼られている 剥がしにくく、粉じん対策も要る
- 人工の余裕がある 撤去と同時にできるなら効率が良い
剥がす作業は粉じんが出ます。 保護具と養生を前提にしてください。効率だけで判断しないところです。
ダクト本体は有価で動くことがある
亜鉛メッキ鋼板は鉄スクラップとして評価されます。単価は低い層ですが、量がまとまり、保温材とテープが外れていれば処分費が有価に転じることがあります。
ただし次の条件が付きます。
- かさばるため、つぶして体積を減らさないと運搬効率が悪い
- 保温材の残りが多いと異物として控除される
- 少量では運搬費が上回る
鉄スクラップの持ち込みと受入条件については関連記事「鉄スクラップを持ち込むとき」で扱っています。
撤去費用の内訳
処分費とは別に、撤去そのものの費用があります。混ぜて見積もると条件の違う現場で外れます。
- 事前調査(アスベスト)
- 養生
- 天井内の作業(高さ、開口の有無、照明の確保)
- 切断と取り外し(吊り金物、支持金物の撤去を含む)
- 横持ちと集積
- 高所作業車、ローリングタワー
- 天井の復旧
- 運搬と処分(有価の場合は控除)
7番目が抜けやすい項目です。 点検口を広げた、天井材を外した、という場合の復旧が別途になっていないか確認してください。
事前調査を工程のどこに置くか
アスベストの事前調査は、着工前に終わっている必要があります。逆算すると次の順になります。
- 設計図書と竣工年の確認(書面調査)
- 現地調査(目視で該当しうる部位を特定)
- 分析(書面と目視で判断できない場合。結果が出るまで日数がかかる)
- 結果に応じた作業計画と届出
- 着工
3番目の分析は日数がかかります。 見積の段階で調査費と日数を工程に織り込んでおかないと、着工が遅れます。改修工事では発注者が竣工図を持っていることが多いので、書面調査を早い段階で依頼してください。
つぶして運ぶ実務
ダクトはかさばるため、そのまま積むと運搬回数が増えます。
- 直管は縦に潰す(足で踏むだけでも体積が半分以下になる)
- 角ダクトはコーナーを開いて平らにする
- フランジ部の金物は外す(鉄なので別に出せる)
- 保温材は別の袋にまとめる(かさばるが軽いので、車両の上部に積む)
重量は少ないのに車両が満載になるのがダクトの特徴です。 潰す作業を撤去と同時に行えるかどうかで、運搬回数が変わります。
よくある質問
Q. アスベストの調査は必ず必要か A. 建築物の解体・改修工事では事前調査が義務づけられています。規模によって報告の要否が変わるため、所管の窓口で確認してください。
Q. 保温材だけ先に剥がしておけるか A. アスベスト非該当と確認できていれば可能です。撤去と同時に行うほうが効率が良い場合が多くあります。
Q. フレキダクトは分別できるか A. アルミと樹脂と鋼線が一体で、分離は現実的ではありません。混合として処理するのが一般的です。
Q. ダクトは中古で使えるか A. 一般的には再利用しません。ただし未使用の在庫材(直管、継手、チャンバー)は規格が合えば売買されます。
空調更新でまとめて出るときの段取り
空調設備の更新では、室内機・室外機・ダクト・保温材・配管が同時に出ます。品目ごとに扱いが違うので、集積の時点で分けてください。
| 品目 | 行き先 |
|---|---|
| 室内機・室外機 | フロン回収が先。その後、中古か金属か産廃 |
| ダクト(保温材を剥がした後) | 金属くず。有価になりうる |
| 保温材 | 廃棄物。かさばる |
| 冷媒配管(銅管) | 非鉄。単価が高い |
| ドレン配管(塩ビ) | 廃プラ |
銅管を混ぜないことが最も効きます。 冷媒配管はダクトの山に紛れやすく、混ざると非鉄の価値が消えます。室外機の扱いは関連記事「業務用エアコン室外機の処分」で扱っています。
まとめ
ダクトの撤去は、保温材のアスベスト調査が最初に来ます。これは工程の前段に置く必要があり、後回しにできません。確認が済んだ後は、保温材を剥がすかどうかが費用を分けます。量がまとまり外装で覆われているなら剥がす価値があり、本体の亜鉛メッキ鋼板は金属として有価に転じることがあります。撤去費用と処分費は分けて積み、天井の復旧が含まれるかを確認してください。
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