建設発生土の処分|盛土規制法で変わったこと、受入先の探し方

工事で発生する土は「残土」と呼ばれますが、法律上は廃棄物ではありません。ただし2021年の災害を受けて制度が変わり、搬出先の扱いが以前より厳しくなりました。この記事では制度の要点と、実務での受入先の探し方を整理します。
なお制度の適用範囲は工事の規模と場所で変わります。個別の該当性は所管の窓口(都道府県、市町村)にご確認ください。
建設発生土は廃棄物ではない
まず前提です。建設工事に伴って発生する土砂は、廃棄物処理法上の廃棄物には該当しません。 自然物であり、有効利用が前提とされているためです。
したがって、
- 産業廃棄物としてのマニフェストの対象ではない
- 収集運搬業の許可は不要
ただし、土砂に廃棄物が混入している場合は話が変わります。 ガラや木くず、廃プラが混ざったものは、その部分について廃棄物としての扱いが必要になります。
盛土規制法で変わったこと
2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受けて、宅地造成及び特定盛土等規制法(通称: 盛土規制法)が制定され、2023年5月26日に施行されました。
要点は次のとおりです。
- 土地の用途にかかわらず(宅地、森林、農地など)、危険な盛土等を全国一律の基準で規制する
- 都道府県知事等が宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域を指定する
- 区域内で一定規模以上の盛土等を行うには許可が必要
出典: 国土交通省「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」の案内。区域の指定状況と規模の基準は自治体ごとに公表されているため、搬出先の所在地の情報を確認してください。
実務への影響は「搬出先が適法に受け入れられる場所かどうか」の確認が重くなったことです。
受入先を探すときの確認事項
- その場所が規制区域内か(区域の指定状況を確認する)
- 必要な許可を取得しているか(許可番号、内容)
- 受入可能な土質(第1種〜第4種、含水比、粘性など)
- 受入量と期間
- 搬入時間と経路
- 受入証明が出るか(搬出先を記録として残せるか)
6番目は必ず確認してください。 どこへ搬出したかを記録に残せない受入先は、後で問題になったときに説明できません。
土質で受入先が変わる
すべての土がどこでも受け入れられるわけではありません。
- 良質土(砂質、礫質): 受入先が多く、条件が良い
- 粘性土: 受入先が限られる
- 含水比が高い土: 改良が必要なことがある
- 汚染のおそれがある土: 土壌汚染対策法の対象になりうる。調査が要る
最後の項目は工場跡地などで特に注意が要ります。 用途履歴によっては調査が義務づけられます。
現場内で使えないか
搬出する前に、現場内で使えないかを検討するのが原価にも制度上も有利です。
- 埋め戻しに使う
- 盛土に使う(規制区域内なら許可の要否を確認)
- 仮設の路盤に使う
- 他の現場へ流用する(工事間流用)
工事間流用ができると、搬出と購入の両方が減ります。 発注者や元請が調整の仕組みを持っていることがあるため、確認してみてください。
運搬の段取り
- 積載重量(土は重い。容積より先に重量で上限に達する)
- 飛散防止(シート掛け)
- タイヤの洗浄(近隣の道路を汚さない)
- 運搬経路と時間帯(近隣への配慮)
- 搬出量の記録(台数と数量)
5番目の記録は必ず残してください。 どこから何をどれだけ出し、どこへ入れたかが辿れることが、この分野では最も重要です。
搬出計画で決めておくこと
土は量が読みにくく、計画がないと現場が止まります。
- 発生土量の見込み(掘削断面から計算)
- 現場内の仮置き場所(置けないなら即日搬出)
- 搬出のピーク(何日に何台出るか)
- 受入先の1日あたりの受入可能量
- 雨天時の対応(含水比が上がると受け入れられないことがある)
5番目が見落とされます。 雨が続くと土が受け入れられず、現場に溜まって工程が止まります。仮置き場所の確保が保険になります。
近隣対応
土の搬出は台数が多く、近隣への影響が大きい作業です。
- 搬出経路と時間帯を事前に周知する
- タイヤ洗浄場を設ける
- 散水で粉じんを抑える
- 誘導員を配置する
苦情が出てから対応すると工程が止まります。 搬出開始前の周知が最も効きます。
搬出先の選択肢を並べる
発生土は「捨てる」だけではありません。行き先で費用も手続きも変わります。
| 行き先 | どういう場合か | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 現場内で流用 | 埋め戻し・盛土に使える土質 | 品質の確認、締固めの管理 |
| 他の工事現場へ搬出 | 近隣で受け入れる工事がある | 搬出先の許可・届出の状況 |
| ストックヤード | 一時的に置いて再利用先を待つ | 保管の条件、期間 |
| 受入地・処分場 | 再利用先が見つからない | 受入基準、土質試験の要否 |
上から順に費用が下がります。 まず現場内で使えないかを検討し、次に近隣の工事、最後に受入地という順で当たってください。搬出量が確定してから探し始めると、選択肢が受入地しか残りません。
よくある質問
Q. 残土は無料で引き取ってもらえるか A. 土質と時期、受入先の状況によります。良質土で受入先が土を必要としている時期なら条件が良くなることがありますが、一般には費用が発生します。
Q. マニフェストは必要か A. 建設発生土は廃棄物ではないため産業廃棄物のマニフェストの対象ではありません。ただし搬出先を記録に残す運用は必要です。
Q. ガラが混ざった土はどうなるか A. 混入している廃棄物については廃棄物としての扱いが必要です。分別してから搬出してください。
Q. 個人の土地に持っていってよいか A. 規制区域内で一定規模以上の盛土になる場合は許可が必要です。受入先が適法かどうかを確認せずに搬出しないでください。
Q. 土質はどう判定するか A. 掘削時の見た目と、必要に応じて試験で判定します。受入先が求める区分に合うかを事前に確認してください。
Q. 工事間流用はどう探すか A. 発注者や元請が調整の仕組みを持っていることがあります。公共工事では調整のための情報提供が行われる場合もあるため、担当に確認してください。
まとめ
建設発生土は廃棄物ではありませんが、2023年5月施行の盛土規制法により、搬出先が適法に受け入れられる場所かどうかの確認が重くなりました。受入先は規制区域の該当と許可の有無、受入可能な土質、そして受入証明が出るかを確認してください。搬出の前に現場内での利用や工事間流用を検討するほうが、原価にも制度上も有利です。搬出量と搬出先の記録は必ず残してください。
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