協力会社会(安全協力会)の作り方|規約・会費・運営の実務

協力会社会(安全協力会)は、元請が協力会社と一緒に安全と施工の水準を上げ、継続して仕事を回すための会です。法律で設置を求められているのは「協力会社会」そのものではなく、現場ごとの協議組織です。 労働安全衛生法では、特定元方事業者(建設業などで、同じ場所で下請と一緒に作業させる元方事業者)は、すべての関係請負人が参加する協議組織を設置し、会議を定期的に開くことが求められています(労働安全衛生法第30条、労働安全衛生規則第635条)。
協力会社会は、この現場ごとの協議を会社単位で常設の場にしたものと考えると、作り方が分かりやすくなります。この記事では、協力会社会を作るときの目的の決め方、規約・会費・運営の実務を整理します。
現場の協議組織と協力会社会の違い
| 項目 | 現場の協議組織 | 協力会社会(安全協力会) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 法令上の措置(特定元方事業者の義務) | 任意の団体 |
| 単位 | 現場ごと | 元請の会社(支店)単位 |
| 参加者 | その現場の関係請負人すべて | 継続して取引のある協力会社 |
| 主な目的 | 混在作業での労働災害の防止 | 安全水準の底上げ、情報共有、関係の継続 |
協力会社会を作っても、現場ごとの協議組織は別に必要です。 協力会社会は、それを支える土台になります。
国の指針にある協議組織の運営
厚生労働省の「元方事業者による建設現場安全管理指針」は、元方事業者が設置・運営する協議組織について、次のような運営を求めています。協力会社会の運営を考えるうえでも参考になります。
| 項目 | 指針の内容 |
|---|---|
| 会議の頻度 | 毎月1回以上開催する |
| 構成員 | 統括安全衛生責任者等、元方の店社の責任者、関係請負人の安全衛生責任者等、関係請負人の店社の責任者等 |
| 協議事項 | 安全衛生管理の基本方針と計画、月間・週間の工程計画、危険・健康障害の防止対策、安全衛生の規程、教育の実施計画、労働災害の原因と再発防止対策 |
| 規約 | 構成員、協議事項、会議の頻度などを定めた規約を作成する |
| 記録 | 重要な議事の記録を作り、関係請負人に配布する |
| 周知 | 重要な結果は、朝礼などで全ての現場労働者に周知する |
目的を先に決める
協力会社会は、目的があいまいだと年に一度の懇親会で終わります。最初に目的を決めてください。
- 安全: 災害事例の共有、安全パトロール、教育の共同実施
- 施工の品質: 手戻りの事例共有、施工方法の標準化
- 取引の安定: 年間の工事見通しの共有、繁忙期の人員の調整
- 情報共有: 法改正や制度の変更の周知
安全だけに絞ると続けやすく、取引の安定まで含めると参加する価値が上がります。 協力会社側にとって「入ると仕事の見通しが立つ」会は、続きます。
規約に書くこと
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 目的 | 会の目的(上の4つから選ぶ) |
| 会員 | 入会の条件、入会・退会の手続き |
| 役員 | 会長・副会長・幹事、任期、選び方 |
| 会議 | 総会・役員会・安全大会などの開催頻度 |
| 会費 | 金額、徴収の方法、使い道 |
| 会計 | 会計の担当、年1回の報告 |
| 事務局 | 元請側の担当部署 |
入会の条件に、社会保険の加入や建設業許可の有無を入れるかどうかは、慎重に決めてください。 条件を厳しくしすぎると、小さな協力会社が入れなくなります。社会保険の扱いは社会保険未加入業者の扱いで扱っています。
会費の考え方
会費を集める場合、使い道を先に決めて示すことが一番大事です。
- 安全大会や教育の会場費・講師料
- 安全表彰の費用
- 保護具や標識などの共同購入
- 会報や資料の作成費
会費の額を決めるときは、協力会社の負担が工事の受注の条件のように見えないよう注意してください。 特に、下請代金から会費を一方的に差し引く形は避けてください。 国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン」は、下請代金から費用を一方的に差し引く、いわゆる赤伝処理を取引の適正化の観点から取り上げています。会費を取るかどうか、どう集めるかは、協力会社の意見を聞いたうえで合意し、書面に残してください。
年間の運営の例
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 年度初め | 総会(年間計画、会計報告、役員の選出) |
| 毎月 | 役員会・安全会議(災害事例、パトロール結果、翌月の工程) |
| 夏前・年末前 | 安全大会(熱中症・年末の災害防止など、時期に合わせた主題) |
| 随時 | 安全パトロール、教育、表彰 |
毎月の会議は短くてよいので、続けることを優先してください。 議事の記録を作って配ると、出られなかった会社にも内容が届きます。
協力会社が入りたくなる会にする
- 年間の工事の見通しを共有する(協力会社は人の手配が組める)
- 支払条件を明確に守る(会の信頼の土台)
- 意見を聞く場を作る(現場の改善提案を拾う)
- 表彰で良い仕事を見える形にする
協力会社が離れる一番の理由は、会の負担に見合う見返りがないことです。 繁忙期に優先して入ってもらう関係づくりは繁忙期に優先してもらう関係で扱っています。
新しい協力会社を入れるとき
- 入会の前に、取引の実績と安全の取り組みを確認する
- 新規入場者教育の内容を共有する(新規入場者教育)
- 会の規約と年間計画を渡す
よくある質問
Q. 協力会社会は必ず作る必要があるか
法令で設置が求められているのは現場ごとの協議組織です。協力会社会は任意ですが、協議組織の運営を安定させる土台になります。
Q. 小さな元請でも作る意味はあるか
協力会社が数社でも、定期的に集まって災害事例と工程を共有する場があれば効果があります。規模に合わせて簡素に始めてください。
Q. 会費は取らないといけないか
取らない運営もできます。会場や資料の費用を元請が持つ形も一般的です。
まとめ
- 法令で求められるのは現場ごとの協議組織。協力会社会はそれを会社単位で常設にしたもの
- 国の指針は、協議組織の会議を毎月1回以上、規約・記録・周知を求めている
- 目的を安全・品質・取引の安定・情報共有から決める
- 規約には目的・会員・役員・会議・会費・会計・事務局を書く
- 会費は使い道を示し、取引の条件のように見えない形にする
協力会社会に新しい会社を迎えるときに。GenbaLink 募集掲示板 では工種・エリア・時期を示して協力会社を募集できます。



