GenbaLink
資材・在庫

余剰資材を売ると廃棄物ではなくなるのか|有価物との境界と排出事業者責任

余剰資材を売ると廃棄物ではなくなるのか|有価物との境界と排出事業者責任
※画像はイメージです

余った資材や撤去した機器を他社に売るとき、多くの担当者が迷うのが「これは廃棄物の売買にあたるのか」という点です。廃棄物であれば収集運搬の許可やマニフェストが関わり、有価物であればその規制の枠外になります。線引きは感覚ではなく、行政が示している判断基準に沿って行います。この記事では、その基準と、建設業に固有の排出事業者責任を整理します。

なお本記事は制度の全体像を実務者向けに整理したものです。個別の案件がどちらに該当するかの最終判断は、所管する都道府県や政令市の廃棄物担当窓口に確認してください。

廃棄物か有価物かは「総合判断説」で決まる

廃棄物処理法上の廃棄物にあたるかどうかは、有償で売れたかどうかだけでは決まりません。環境省の「行政処分の指針」(環廃産発第050325002号、改正 平成25年3月29日 環廃産発第130329111号)に基づき、次の5つの要素を総合的に勘案して判断します。これが実務で総合判断説と呼ばれるものです。

# 判断要素 内容
1 物の性状 利用用途に要求される品質を満たし、飛散、流出、悪臭の発生など生活環境の保全上の支障が生じるおそれがないこと
2 排出の状況 排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること
3 通常の取扱い形態 製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと
4 取引価値の有無 占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされ、かつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること
5 占有者の意思 客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し、または他人に有償譲渡する意思が認められること

重要なのは、5番目の「占有者の意思」が単独では成立しないことです。売るつもりだと主張しても、物の性状が悪く、市場が形成されておらず、取引に経済的合理性がなければ、廃棄物と判断されます。逆に言えば、要素1から4を満たす状態を保っていることが、有価物として扱うための実質的な条件になります。

実務でどう当てはめるか

5要素を現場の言葉に置き換えると、次のようになります。

  • 物の性状 未開封である、動作が確認できる、破損していない、屋外放置で劣化していない
  • 排出の状況 発注量の誤差や仕様変更で余ったものであり、雨ざらしではなく適切に保管されている
  • 通常の取扱い形態 その型番の中古市場や再利用の実態がある
  • 取引価値の有無 実際に有償で引き取られ、その価格に説明がつく
  • 占有者の意思 処分ではなく売却として扱う意思があり、社内の記録もそう扱っている

したがって、倉庫の隅で数年間雨ざらしにしたものを「売るつもりだった」と言っても、有価物としては通りにくいことになります。売却を選ぶなら、判断を先送りせず、状態が保たれているうちに動かすことが法令面でも合理的です。

建設工事では、元請が排出事業者になる

建設業に固有の重要な規定があります。建設工事から生じる廃棄物については、注文者から直接工事を請け負った元請業者が排出事業者と定められています(廃棄物処理法第21条の3第1項)。

このため、次のことが原則になります。

  • 元請業者が自ら処理するか、許可業者等に運搬・処分を委託する
  • 元請から請け負った下請業者は、その工事で生じた廃棄物を排出事業者として処理したり、他人に委託したりすることはできない

ただし法第21条の3第3項には例外規定があり、一定の条件をすべて満たす場合には下請負人が事業者とみなされ、廃棄物の運搬が可能となる場合があります。条件は複数あるため、該当するかどうかは個別に確認してください。

この規定は「誰が処理の責任を負うか」を明確にするためのもので、現場で下請が善意で持ち帰る運用が法的に問題になりうるという点を含みます。余剰資材の扱いを社内ルール化するときは、この責任の所在を踏まえて設計する必要があります。

マニフェストの保存は5年

産業廃棄物として処理する場合、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しの保存期間は原則5年です(廃棄物処理法第12条の3)。交付した排出事業者と、受け取った処理業者の双方に保存義務があります。電子マニフェストの場合は情報処理センターがデータを保管します。

保管義務に違反した場合の罰則も定められているため、書面管理は処理の委託と同じ重みで扱う必要があります。

判断に迷ったときのチェックリスト

売却に回すかどうかを決めるとき、次の項目を確認してください。すべてに「はい」と答えられないものは、有価物として扱うことに無理があります。

  1. 未開封、または動作と状態を説明できる
  2. 型番、規格、数量が特定できる
  3. 適切に保管されており、劣化や汚損がない
  4. 同種の中古市場や再利用の実態がある
  5. 引き取り側が有償で買う意思を示しており、その価格に説明がつく
  6. 建設工事に伴って発生したものであれば、元請としての立場で判断している

よくある質問

Q. 1円で売れば有価物になるのか A. なりません。取引価値の有無は要素の1つにすぎず、客観的に見て経済的合理性があるかまで問われます。名目だけの有償譲渡は総合判断で否定されます。

Q. 逆有償(運搬費のほうが高い)の場合はどうなるか A. 引き渡し側が実質的に費用を負担している形になるため、廃棄物として扱われる可能性が高くなります。個別の判断は所管窓口に確認してください。

Q. 下請として現場に入っており、余った材料を持ち帰ってよいか A. 建設工事から生じる廃棄物の排出事業者は元請です。自社の持ち込み材で余ったものか、工事から生じた廃棄物かで扱いが分かれるため、元請と取り決めたうえで運用してください。

Q. 中古機器として売る場合もマニフェストは必要か A. 有価物として取引されるものは産業廃棄物の処理委託ではないため、マニフェストの対象ではありません。ただし有価物にあたるかどうかが上の5要素で判断される点が前提です。

まとめ

廃棄物か有価物かは、有償で売れたかどうかだけでは決まらず、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思の5要素を総合的に勘案して判断されます。建設工事では元請が排出事業者となる規定があり、下請が独自に処理することは原則できません。売却を選ぶなら、状態が保たれ、型番が特定でき、市場に実態があるうちに動かすことが、実務上も法令面でも合理的です。

出典: 環境省「行政処分の指針」(環廃産発第050325002号、改正 平成25年3月29日 環廃産発第130329111号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の3、第21条の3。制度の運用や様式は自治体により異なる場合があるため、実際の判断は所管窓口にご確認ください。

状態が保たれているうちに引き取り手を探すことが、有価物として扱うための実質的な条件になります。GenbaLink 在庫マーケット は建設業者どうしが余剰在庫と中古機器を直接売買する場です。型番と状態が特定できるうちに出品できます。

委託する場合の書面は産業廃棄物の委託契約書、相手の確認は産廃業者の許可をどう確認するかで扱っています。

#廃棄物処理法#有価物#総合判断説#排出事業者責任#マニフェスト

電気・空調工事の案件を獲得しませんか?

登録料・月額・成約手数料すべて0円。地域の新着案件をリアルタイムでお届けします。

新規登録(無料)

関連記事

GenbaLink活用セミナー 在庫マーケット編 余った資材を、現金に変える無料で申し込む →